東京五輪組織委の武藤事務総長が会見(全文1)競技会場の整備は順調
2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の武藤敏郎事務総長が18日午後3時から東京の外国特派員協会で記者会見した。 【中継録画】東京五輪まで3年 組織委の武藤敏郎事務総長が会見 開催まであと3年となった東京大会の準備状況を説明する。 武藤氏は財務省事務次官、日本銀行副総裁などを歴任し、2014年に大会組織委の事務総長に就任した。
競技会場の整備は順調に進んでいる
武藤:Thank you very much. Good afternoon, ladies and gentlemen. I’m very pleased to be here, today. ここから先は通訳の方に日本語を通訳させていただきます。皆さん方が東京2020大会にたいへん関心を持っていただいていることに感謝をいたします。東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が2014年に発足いたしましてから3年がたちました。あと3年と6日で、世界最大のスポーツの祭典が東京で行われます。そう考えますと感慨もひとしおというところであります。これまでにいろいろな課題がありましたけれども、その多くが解決の方向に向かっています。 まず競技会場についてでありますけれども、オリンピックスタジアムをはじめ、新設施設を含む全ての会場整備が順調に進んでおります。約6割の会場は既存の施設を用いることになっておりまして、これはいわゆるIOCのアジェンダ2020による提言を尊重しているわけであります。 また会場を地域別に見ますと、4割は東京都外の施設を用いることになっておりまして、東京都ばかりでなく、近郊の広い地域の次世代にレガシーを残していきたいと思っています。予算につきましては昨年12月にいわゆるバージョン1と呼ばれます、最初の案をIOCに提出しました。それ以来、コストやその配分について、政府、東京都、競技会場のある関連自治体など、さまざまな関係者と話し合いを重ねまして、この5月にには費用負担および、役割分担の大枠について合意することができました。今後も予算の精査を進めまして、さらなるコスト効率化に努めていきたいと考えております。 競技につきましては先月開催されたIOC理事会におきまして、東京2020大会実施種目を決定いただき、今回、新たに15種目が追加されました。その中には3×3バスケットボール、BMXフリースタイルなど、これまでの大会には見られない若者の興味を引きつける種目が採用されています。昨年は組織委員会が提案したスケートボード、スポーツクライミング、サーフィンといった競技がIOCの総会で承認されました。これらの競技も東京2020とIOCが目指します、日本と世界の若者によるエンゲージメントを生み出すことになるでしょう。 東京2020大会はより若者向けに都市型に姿を変え、より多くの女性が活躍する大会となります。これからもまだまだ取り組むべき課題があると認識していますけれども、東京2020大会には極めて明るい展望が見えてきたと思っております。われわれ組織委員会では、スポーツには世界と未来を変える力があるということを強く信じ、3つの基本コンセプトを掲げております。1つ目は「全員が自己ベスト」。2つ目は「多様性と調和」。そして3つ目が「未来への継承」です。 組織委員会ではこれら3つの基本コンセプトを基に史上、最もイノベーティブで世界にポジティブな改革をもたらす大会とすることを目指しております。全員が自己ベストというのは万全の準備と運営によって、全てのアスリートが最高のパフォーマンスを発揮して、自己ベストを記録できる大会を実現することであります。またボランティアを含む全ての日本人が、世界中の人々を最高のおもてなしで歓迎することでもあります。 2つ目の基本コンセプトである、多様性と調和は人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治信条、あるいはその他の社会的事象に関する信条、障害の有無などを含め、あらゆる面で違いを受け入れ、互いに認め合うこと。これによりわれわれの暮らす社会の進歩に貢献しようということであります。東京2020大会を世界中の人々が多様性と調和の重要性をあらためて認識し、共生社会を育む契機となるような大会としようという、私たちの意気込みを表すものであります。 そして3つ目の基本コンセプトであります未来への継承、は文字どおり、大会のレガシーを未来へと継承していこうという私たちの強い願いを表しております。東京、1964年のオリンピック・パラリンピックは日本を大きく変え、日本人が世界を強く意識する契機となり、その後の高度成長を支えました。東京2020大会は成熟国家となった日本が、今度は世界にポジティブな変革を促し、それらをレガシーとして未来へ継承していく役割を果たす重要な大会となります。ここでこれまでの私たちの取り組みをまとめた映像をご覧いただきたいと思います。 (VTR 00:14:57~00:16:25)