猫が人間に変身して料理する!? 『シマシマ』『アンダーズ』の作者が “猫も料理も避けたかった”理由
食べるシーンがこんなに難しいとは
――前作『アンダーズ〈里奈の物語〉』(文藝春秋、原作/鈴木大介)は少女売春が題材でした。今作とはかなり作風が異なりますが、共通点や相違点はありますか? 山崎 『アンダーズ〈里奈の物語〉』は「まだ10代が描けるか」というチャレンジでもありました。そういう意味では、『にゃーの恩返し』も20代のカップルが登場するので、「若いキャラクターを描く」という点では共通しているかもしれません。 でも中身はかなり違って、『アンダーズ』はシビアなストーリー展開だった分、『にゃーの恩返し』は明るい雰囲気なので描いている時の気分は異なりますね。 猫のミケって人間に変身するとずっと笑顔のままなので、描いているとやっぱり気分が明るくなります。でも私は笑顔を描くのが苦手で、「ムッ」としている顔の方が描きやすいんですよ。こんなに笑顔のままのキャラクターって、これまでに描いたことがなかったなと改めて感じています。同じ表情にならないようにいろんなパターンを考えていますね。 あとは、嬉しそうに食べるのも難しいです。健康的に美味しく食べてほしいから、頬張る様子がもっと読者に伝わるように描きたいですね。食べるシーンがこんなに難しいとは……! 今作で身に沁みてわかりました。 山崎紗也夏(やまざき・さやか) 1974年栃木県生まれ。1993年「ヤングマガジン増刊ダッシュ」の『群青』でデビュー。代表作にドラマ化した『シマシマ』(講談社)、『サイレーン』(同)、『レンアイ漫画家』(同)のほか、『アンダーズ』(文藝春秋、原作/鈴木大介)などがある。
ゆきどっぐ