猫が人間に変身して料理する!? 『シマシマ』『アンダーズ』の作者が “猫も料理も避けたかった”理由
おすすめレシピは「卵スープ」
――『にゃーの恩返し』に出てくる料理はどれもおいしそうですけど、レシピはどうやって考えているんですか? 山崎 料理監修を務める料理人のみやがわ丈二さんにレシピを考案いただいてます。購入する食材によって誤差が生じるので、必ず私も作って、「思ったより肉が硬い」「しょっぱい」と感じたらすり合わせていきますね。 今作は若者向けで、登場人物は看護師や不動産会社で働くキャラクター。どちらも体を使う仕事なので、私が普段食べる料理よりは少し濃い味付けになっています。 ――漫画に出てくる料理で、山崎さんの生活に定着したレシピはありますか? 山崎 第2話に出てくる「卵スープ」は簡単にたんぱく質が取れるから私もよく作りますよ。 読者から好評だったのは第1話の「トリナスポン酢」ですね。カットした鶏ムネ肉とナスを塩コショウと片栗粉をまぶして炒め、みりんとポン酢で味付けするレシピです。登場した料理で一番作りやすくておいしいので、私も感動しました。 漫画に登場するレシピはどれも30分以内で簡単に作れるので、忙しい人でも挑戦しやすい料理だと思います。
今作は、生活を丁寧に描くことを意識
――『にゃーの恩返し』を描くときに、意識していることはありますか? 山崎 『にゃーの恩返し』では生活を丁寧に描こうと決めているんです。これまでの漫画と比べると、小物をきちんと描いていますね。そうすることでキャラクターの生活が立ち上がってくるんです。 例えば第1話だったらアヤとシュウの買い物袋の中身とか、洗濯物の山、玄関に置かれた段ボール。それにアヤがウインナーのゆで汁をインスタントみそ汁に入れたり、どこかでもらったケチャップを使ったり。 私の姪が第1話を読んだ時にそういう描写を喜んでくれたので、「そういう部分を楽しむ人がいるんだな」とわかりました。それで「じゃあもっと頑張ろうかな」と思えたんですよね。雑な性格のアヤを丁寧に描くイメージで進めています。 ――アヤは冷えた牛丼をマヨネーズと卵で炒めて「牛丼炒飯」を作るなど、面白い発想の持ち主ですよね。彼氏との結婚にも積極的ではないし。 山崎 アヤは少し田舎で看護師として働く自立した女性なんです。彼氏と別れても生活に困らないから本人は結婚もあまり意識していなくて、人生の重きをそこに置いていないんです。 ――山崎さん自身がアヤに共感する部分はありますか? 山崎 あまりないですね。私の性格は雑ですけど、生活は雑ではないんです。読者の皆さんには、彼女の今後の選択を楽しみにしていてほしいです。