最終トライまで大混戦と逆転に次ぐ逆転劇でパリオリンピック日本代表が決定「オリンピック予選シリーズ(OQS)」ブダペスト大会 女子スケートボードストリート種目
【トリックス2本目】 トップバッターのチェンシーはビッグステアで「キックフリップメロングラブ」に成功し86.28ptのハイスコアをマーク。 一方で早い段階でスコアをフルメイクし、精神的にも有利に運びたい中山だったが「ヒールフリップバックサイドリップスライド」をビッグハンドレールで狙うも痛恨のミス。 一気に勝負を決めたい吉沢は「フロントサイドハリケーングラインド」をビッグハンドレールで成功させると、89.75ptとスコアを合計得点を伸ばし一歩リード。すでにパリオリンピック出場を決めている赤間は「フロントサイドフィーブルグラインドフロントサイド180アウト」の高難易度トリックで92.10ptとこの時点でのハイエストスコアをマーク。 1本目を早い段階でカバーしたい織田は「バックサイドオーバークルックドグラインド」をビッグハンドレールで見事メイクしリカバリー。87.28ptとこの時点では中山を上回ることに成功し代表権争い状況としてはイーブンに戻した。
【トリックス3本目】 勝負所の3本目は全ライダーがミスしスコアマークはならず、状況はキープしたままいよいよ終盤戦へ。
【トリックス4本目】 中山は2本目からトライしている「ヒールフリップバックサイドリップスライド」に果敢に挑戦するも決められずにいる中、赤間がここで「フロントサイド270フロントサイドボードスライドリバース」をビッグハンドレールで決め93.48ptのハイスコアをマーク。 ここで勝負を動かしたのは中山や吉沢を追う立場になっている織田だ。SLSでも世界最高得点をマークした「キックフリップフロントサイドフィーブルグラインド」をビッグハンドレールで決め95.81ptと一気に状況をひっくり返した。これにより4本目を終えた時点では吉沢と織田に出場権がある状況となった。
もう後がない中山はビッグハンドレールで「ヒールフリップバックサイドリップスライド」をラストにして決め切ると、96.62ptとこの日のハイエストスコアをマーク。前回オリンピック経験者として土壇場での勝負強さと意地を見せた。 しかし、織田を上回ることはできずこの時点で織田が暫定首位、中山が2位という状況。ブダペスト大会前のポイント差が44,446ポイントで中山がリードしていたが、今大会の1位と2位では獲得ポイント差が52,000ポイントあるため、ポイントランキングでは織田が逆転する状況である。 そんな状況を一変させるライディングを見せたのが吉沢。「ビッグスピンキックフリップフロントサイドボードスライド」をビッグハンドレールを決め96.12ptを叩き出した。 これにより吉沢が暫定首位となり、2位織田、3位中山という順に。なお2位と3位のポイント差は31,200ポイントとなるのでこの時点でポイントランキングでは再び中山が織田を上回る展開となった。 目まぐるしく順位が入れ替わる状況の中、織田は89.06ptを出せば逆転優勝となり、優勝すれば文句なしでパリオリンピック出場内定を獲得できる状況となった。この極限状態の中で一度は滑り出した織田だったがタイミングが合わず、セクション前でストップして仕切り直しをする。 そんな状況から見ている人達全員にひしひしと伝わるような緊張感が会場を包む。ただその状況すらを楽しんでいるようにも見えた織田は観客からの声援を要求し、自らを奮い立たせているように思えた。 そこで彼女が最後に選んだトリックはビッグハンドレールでの「キックフリップバックサイドスミスグランド」。無情にもトラックはレールに掛からず逆転優勝、逆転でのオリンピック出場は叶わなかった。この瞬間、今大会の結果で吉沢と中山のパリオリンピック内定が決まった。
【関連記事】
- 波乱の展開の中で強さを見せたのは赤間凛音と吉沢恋「オリンピック予選シリーズ(OQS)」上海大会 女子スケートボードストリート種目
- 最後の最後まで混戦だった日本代表争いは「1つのトリック」が明暗を分けた。「オリンピック予選シリーズ(OQS)」ブダペスト大会 男子スケートボードストリート種目
- 日本からは小野寺吟雲が準優勝「オリンピック予選シリーズ(OQS)」上海大会 男子スケートボードストリート種目
- 世界王者として今年を有終の美で締め括ったのは織田夢海「ワールドスケートボードストリート世界選手権2023東京」女子決勝
- 最後の最後に決め切ったベストトリックで大逆転「World Skateboarding Tour :ローザンヌ・ストリート 2023」- パリ五輪予選大会 / 女子ストリート決勝