好決算で大幅増配 商船三井の収益を押し上げた追い風
商船三井は31日、2025年3月期の連結経常利益が前期比35%増の3500億円となる見通しを発表した。従来予想比1200億円の上方修正となり、過去3番目の好業績を見込む。円安に加えて、紅海の商船攻撃リスク長期化を背景としたコンテナ船需給のタイト化が利益を押し上げる。エネルギー事業でのケミカル船のスポット運賃上昇も追い風となり、3月に買収した米国系ケミカル船社フェアフィールドケミカルキャリアーズが収益に貢献する。 商船三井は紅海情勢の正常化の時期を従来は10月以降と想定していたが、今回、来年1月以降に変更。迂回(うかい)トレード増や混乱の長期化に伴う市況高止まりを予想する。 通期の売上高は前期比12%増の1兆8150億円、営業利益は51%増の1560億円、純利益は28%増の3350億円と増収増益を見込む。 年間配当は280円(前期は220円)と従来計画比100円引き上げる。 円安基調を反映し、下期の為替前提を1ドル=150円と従来比10円の円安に変更。経常損益の為替感応度は対ドルレート1円の変動で26億円の影響が生じる。 今期のセグメント別経常利益は製品輸送事業が81%増の2270億円となりそう。このうちコンテナ船の利益が2・7倍の1390億円に拡大する見通し。 自動車船の収益も港湾混雑の緩和や北米をはじめとする底堅い輸送需要を追い風に上方修正。ロジスティクス事業は仕入れ運賃高騰により下方修正した。 エネルギー事業は42%増の950億円を見込む。従来予想比180億円の上方修正となり、ケミカル船の好市況が「(要因の)太宗を占める」(濱崎和也取締役専務執行役員)。LNG(液化天然ガス)船や海洋設備の長期契約や、油送船とLPG(液化石油ガス)船の市況堅調も寄与する。 ドライ事業は前期比41%減の220億円と予想。前期に計上したグループ会社ギアバルクの貸倒引当金の戻し入れがなくなることが響く。 ウェルビーイングライフ事業は6%増の95億円となる見通し。フェリー・内航RORO船の積み高増に加えて、ダイビルを中心とする不動産の利益が16%増の100億円に伸長する。 商船三井が同日発表した4―6月期決算は売上高が前年同期比13%増の4359億円、営業利益が66%増の406億円、経常利益が20%増の1086億円、純利益が20%増の1071億円だった。6月末時点の自己資本比率は57・9%となっている。
日本海事新聞社