入籍していなくても「扶養手当」は出るのに、なぜ同性パートナーはダメ? 判決に専門家の批判が次々、他県ではOKのケースも
東京都は昨年11月、パートナーシップ宣誓制度を開始したのに合わせ、職員の給与に関する条例を改正。同性パートナーがいる職員も支給対象とした。長野県も今年8月にパートナーシップ届出制度を始め、扶養手当も事実婚と同様の扱いにした。担当者は「同性カップルの人たちが暮らしやすい社会を目指す」と強調。岩手県の担当者も「事実婚と同じと解釈している。多様性を認める県の姿勢だ」と説明した。 ▽控訴せず 判決には納得がいかなかったものの、佐々木さんは控訴しなかった。「自分ができることは全部やった。これからは自分やパートナー、家族を大切にして生きていきたい」。裁判では顔と実名を公表して臨んだ。理由は、当事者ではない人も一緒に考えてほしかったからだ。結果は負けだったが「私に課せられた役割は、世の中にはマジョリティーが気づかないマイノリティーへの差別があり、そのような差別が堂々とまかり通っていることを知ってもらうことだった」。そう言って胸を張った。
▽当事者意識の欠如 北海道の鈴木直道知事は判決翌日の9月12日、定例記者会見で判決について問われると「国の取り扱いを踏まえて適切に対処している」と答えた。国家公務員の待遇に準じた対応だったとも強調し、引き続き同性パートナーのいる職員には扶養手当を支給しない考えを改めて表明。そしてこう続けた。 「国においてしっかり議論を進めてもらう必要がある」 鈴木知事の発言を聞いた佐々木さんは「また国のせいにしている」と、当事者意識のない姿勢にあきれていた。