【オリックス】吉田輝星「当たってもしょうがない」オフに磨いたシュート1球で移籍後初勝利
<ロッテ3-5オリックス>◇29日◇ZOZOマリン オリックス吉田輝星投手(23)が移籍後初勝利を挙げた。同点の9回2死一、三塁からロッテ荻野を1球で三ゴロに抑えた。延長に入った10回に打線が杉本の2ランで勝ち越し、右腕が自身2年ぶり白星を手にした。日本ハム時代の22年8月31日の西武戦(ベルーナドーム)以来。昨オフにオリックスにトレード移籍し、この日は25試合目の登板だった。1球勝利は球団史上2人目。チームはロッテ戦の連敗を5で止め、楽天を抜いて4位浮上した。 ◇ ◇ ◇ オフから磨いてきたシュート1球で、うれしい白星を手にした。9回、一打サヨナラの緊迫した場面。吉田は、同じ秋田出身の中嶋監督から火消し役を託された。投球練習を終えると、女房役の若月がマウンドに来た。「シュートとスライダー、どっちにする?」。スライダーの感覚も良かったが、迷わず「シュートでいきます」と答えた。 「顔付近にいって、本当に申し訳ないですけど、当たってもしょうがないくらいの気持ちでいって。厳しいところで次の球につなげようと思った」。荻野への初球は内角やや甘かったが、気迫で押し込む三ゴロ。延長10回のチームと自身の白星を呼び込んだ。668日ぶりのプロ4勝目には、思わず笑みがこぼれた。 「うれしいですけど、あんまり浸らないように。初球、シュートから入るなんて僕がキャンプで練習していた時はあり得ない。横を広く使うというのは今まで自分になかったスタイル。シュートは1球で決められる球。今日みたいな場面で使えたら楽だよねとはキャンプからずっと言われていた。習得できて良かった」 金足農(秋田)で甲子園を沸かせたスター右腕。プロ入り後は2年前に51試合登板も、昨季は3試合にとどまった。今季は復活をかけて臨んだ。オフには糖質制限で体脂肪率を5%低下させた。開幕1軍入りし、信頼を少しずつ得ていたが、5月下旬に2軍落ち。多彩な変化球へのこだわりを示す中で、調整期間は「舞洲で練習して真っすぐが上がってきた」と基本に立ち返ることでも自信を取り戻した。1軍復帰後はこれで10試合連続無失点だ。 本来なら勝ちパターンの山崎、宇田川、小木田らが続々と離脱。その中で吉田はブルペンを支える貴重な1人だ。「今はリリーフなので勝ち星よりホールドとか。ビハインドで行ったら勝ちを呼べる投球をするのがベスト」。背番号は昨年の18から23に変わり「ドキュメンタリーを見て好きになった」というベッカムのRマドリード時代と同じ番号がお気に入り。今後も重要な場面を抑え、白星に貢献する。【大池和幸】 ▼1球勝利=吉田(オリックス) 29日のロッテ戦で記録。23年6月18日阪神戦の大津(ソフトバンク)以来、プロ野球48人、49度目。オリックスでは09年8月25日日本ハム戦の清水に次いで2人目。 ▽オリックス中嶋監督(移籍後初勝利の吉田について)「今、だいぶ上がっていますので、今のボールでしたら自信持って投げてくれると思います」 ▽オリックス西川(下半身のコンディション不良が回復し2試合ぶりスタメン。6回に12打席ぶり安打となる適時打)「ここ最近、全然打てていなかったので『この打席こそは!』と思っていきました」