クルマエビ養殖でベンチャー設立 神奈川大教授、先端技術生かし出荷量の底上げ図る
クルマエビ養殖事業を展開する神奈川大発のベンチャーを、理学部の大平剛教授が設立した。甲殻類研究の先端技術を生かして稚エビの成長速度を向上させ、業者の量産化と生産コスト削減につなげる。親エビの死亡率も低減され、循環型の養殖に貢献する。 横浜キャンパス(横浜市神奈川区)の一室を訪ねると、顕微鏡を黙々とのぞく研究者がいた。「クルマエビは不思議な生き物。研究するほど面白さが増してくる」。笑顔で話すのは、甲殻類の性転換ホルモンを研究する大平教授だ。 11月に立ち上げたベンチャーは「琉球アクアファーム」。クルマエビ収穫量の3分の1強を占める沖縄県に本社を構え、大平教授は取締役CTO。成長が早い稚エビを育て、養殖業者に販売する。 国産クルマエビはインバウンド(訪日客)の増加で需要が拡大。出荷量の底上げに貢献して「養殖業界にイノベーションを起こしたい」と着目したのが、雄より約1・3倍早い雌の成長速度だった。
神奈川新聞社