インドネシアでは教師は副業? 就学率上がっても、教育の質は最低レベル
フローレス島シッカ県、夕食をとるために立ち寄ったマウメレの食堂でのことだ。店の隅の丸テーブルで子供たちが何やら神妙な顔をしてノートを広げていた。どうやら学校の宿題をやっているようだ。年上の女性が、仏頂面をしながらノートに鉛筆を走らせる少年に、何やら小言を言っている。店内にはテレビから流れるドラマが結構な音量で響き渡るが、子供達はそれほど気には留めていないようだ。 インドネシアでは、ここ20年ほどの間に就学率が上昇し、小学校で90パーセント、中学校では70パーセントを超えるまでになった。しかし問題はその質だ。 この国の教育システムは、世界で最低レベルとも言われている。教師のほぼ半数が正規の教員資格を持っていない上に、多くは暮らしのために副業を持ち、教育は片手間に過ぎない。学校設備にしても、コンピュータはおろか教科書さえままならないところも少なくない。一番の問題は、日常にはびこる汚職だろう。政府から学校へ予算が下りても、金が学校に届く前に、役人のポケットに入ってしまう。卒業証書さえも金を出せば買えるし、いい仕事に就きたいと思っても、学歴や実力よりもコネ重視。こんな社会だから、教える方も教わる方もやる気が失せる。 今後も経済成長の期待されるインドネシアだが、将来を担うのは子供たち。その子供たちの健全な教育なくして、国の発展はありえない。 (2014年10月撮影)