「今季はクロスからの失点がひとつもありません」衝撃発言の背景にある“緻密な黒田戦略”「何のストレスもなく彼を起用できる」【町田】
何より光る守備の安定感
2024年7月14日、首位のFC町田ゼルビアが東京ヴェルディとの一戦を1-0と制した。試合後の黒田剛監督の会見で、何より印象に残った言葉は「今季はクロスからの失点がひとつもありません」だった。 【PHOTO】アウェー味スタでチームの勝利に盛り上がった町田ゼルビアサポーターたち! 今回の東京V戦でも光ったのは守備の安定感だ。ゴールを奪われそうで奪われない。その要因のひとつが守護神・谷晃生の存在だ。彼がクロスをほぼ完璧に処理してくれるおかげで、失点のリスクは明らかに減っている(山見大登のシュートを防いだプレーも忘れてはいけない)。 事実、黒田監督も谷の大きな貢献を認めている。 「堂々としていて、駆け引きのセンスも備えていて、頼もしい存在です。ここまで何のストレスもなく起用できる。練習に取り組む姿勢、声がけ、彼の立ち振る舞いは本当に誠実で、他のキーパーの模範にもなれます。今日なんかも、精神が充実しているからこそのセーブだったと思います」 クロスに話を戻せば、谷は今季ここまでJ1リーグでクロスキャッチ率1位である。ただ、谷だけが素晴らしいのではなく、黒田監督は「彼がクロスに対応しやすいようなDFの配置。選択肢が2つ、3つあった場合、彼が出やすいようにDF陣を上手く配置していることもあります」と緻密な戦略を明かしてくれた。 谷個人にフォーカスしすぎると見落としがちだが、やはり守備の安定感の秘密は組織にあった。黒田監督は言う。 「GK、それからDF陣の配置、連係というものがすごくまとまっている印象です」 町田はフロックで勝っているわけではない。こうした戦略もあるからこそ、堂々と首位に立っているのだ。 取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)