ラグビー日本代表は強くなっているのか? 来季の結果次第では名将エディーの退任も考えるべき
【来季は言い訳がまったく通用しない】 ジョーンズHCが日本らしいアタックで世界を驚かせたい気持ちはわかる。ただ、全体の練習時間は限られているため、いきなり全部を変えてしまうのではなく、前体制でもプレーした選手や元コーチに話を聞き、ディフェンスシステムなどは踏襲してもよかったのではないか。 前任のジェイミー・ジョセフHCは若手の育成にあまり力を入れなかったため、2027年ワールドカップに向けて若手の成長と台頭が急務だったことは十分に理解している。大学生を積極的に合宿に招集したことも、決して悪いことではない。 ただ、ジョーンズHCはそれを誇るかのように、試合のたびに「今年は新たにキャップを得た選手が20人になった」「若いチームでスコッドのキャップは200しかない」とアピールしてきた。しかし、急速に変化を求めすぎた部分もあるのではないだろうか。 2015年に退任した時、ジョーンズHCは前回ワールドカップを経験した選手と若手との割合は「6:4くらいがいい」と話していた。だが、今回の海外遠征に参加した42人中、ワールドカップ経験者は13人、つまり3割ほどしかいなかった。 また、前回就任した2012年の時はサントリーサンゴリアスで2年間指揮を執っていたため、日本でプレーしている選手にかなり精通していた。しかし、今回はそうではない。 ジョーンズHCが再任1年目で世界トップ10の国々に勝てなかった責任について、永友洋司ナショナルチームディレクターはこう語る。 「KPI(最終目標に対してプロセスの達成状況)も含めての成績が大事なポイントになってくる。イングランド戦が終わって、日本に戻ってからのレビューになる」 個人的には、このタイミングでジョーンズHCの退任には賛成しない。1年目でクビになることもないだろう。ただ、ジョーンズHCの言葉を借りれば、2年目の来シーズンは「新しいクルマ」ではない。 今シーズンをしっかりとレビューし、コーチ陣や選手の声を聞きつつ柔軟に"クルマ"を乗りこなし、日本代表を勝つ方向に"ドライブ"しなければ、ファンは愛想を尽かしてしまうだろう。今季と同じようなラグビーを貫き、来季も同じような成績ならば、その時は退任も考えるべきだ。 いずれにせよ、来季のエディージャパンは言い訳がまったく通用しない、真価が問われるシーズンになるだろう。
斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji