世界的音楽家・梅林茂がオリジナルスコアを書き下ろし 貴重な録音メイキング写真公開 映画『西湖畔に生きる』
『春江水暖~しゅんこうすいだん』で中国映画新時代の旗手となったグー・シャオガン監督の待望の第2作、映画『西湖畔(せいこはん)に生きる』が公開中。この度、本作の音楽を担当した、世界的音楽家・梅林茂の貴重な録音風景の写真が独占公開された。 茶摘みで働く⺟(ジアン・チンチン)が堕ちる違法ビジネスの地獄と、その⺟を救おうとする息⼦(ウー・レイ)が描かれる本作。音楽は、世界的音楽家・梅林茂が担当し、オリジナルスコアを提供している。 梅林といえば、2023年には第18回ローマ国際映画祭で生涯功労賞を受賞するなど、海外でも高く評価されているが、中国語圏では特に人気が高い。例えば、香港のウォン・カーウァイ監督との『花様年華』『2046』『グランド・マスター』などでのコラボレーションは中国語圏・日本のみならず世界中の映画ファンに知られている。 グー・シャオガン監督は梅林について「中国では映画界のみならず、ウメさん(梅林さん)の『陰陽師』(のサウンドトラック)を使ったフィギュアスケート羽生結弦選手の『SEIMEI』が大人気。でも僕が、ウメさんの音楽を初めて意識したのは大学生の頃で、『花様年華』を見たとき。ただ、実は『花様年華』の音楽は中国ですごく有名でCMにも使われているので、映画を見る前からウメさんの音楽は耳にしていたのだと思う」と語っている。また、映画&音楽評論家の賀来タクトは「中国語圏の映画人は好きな映画音楽に梅林さんの『それから』を挙げる方がとても多い」と証言。ウォン・カーウァイにとって、梅林が“いつか一緒に仕事をしたい憧れの音楽家”となったのも、森田芳光監督・松田優作主演の『それから』の影響があるという。
そして先月、プロモーションのため来日したグー・シャオガン監督は、梅林茂と待望の再会を果たした。互いを「ウメさん」「グー」と呼び合う2人。グー監督は「ウメさんは“今まで組んだ監督の中で(僕が)いちばん若い監督”だと言います。最初はとても緊張しました。ウメさんは世界の映画人にとって “伝説”ですから。ところが、いざ話してみると、同世代の友人と話しているような感じなんです。偉ぶることが全然ない!」「中国の老子が書いた『老子道徳経』に“功成りて居らず(成功に安住しない)”という言葉がありますが、ウメさんはまさにそれです。これまでの成功や名声を全く意に介さず、新しい作品に取り組まれている」と尊敬を言葉にした。 一方、梅林は「“技術”で映画を作る監督も多いけれど、僕にとっての“映画”は本当に少ない。その意味で、グーは“映画監督”」と若き監督を称えると、「あのオープニングの茶畑、すごい画だなって思った。あそこのシーンの音楽が書けなければ、この映画はできないと思った」と今回の作曲の裏側を明らかにした。そして、「映画の中に“父の木”を斧で切るシーンがあるんだけど、オープニングの画を見ていたら、メロディーじゃなく、カーンという木を切るその音が、突然自分の頭に降ってきた」と語った。 梅林が作った“木を切るカーンという音”から、どのようにテーマ音楽が展開されていくのか。オープニングシーンから、映像・音楽ともに堪能したい。 映画『西湖畔(せいこはん)に生きる』は、公開中。
otocoto編集部