話がすれ違う、気が散る、テンポの速い会話が苦手…発達障害の子は会話で悩んでいる!
いつの時代も、会話によるコミュニケーションは重要です。しかし、コミュニケーションに困難を抱え、学校でうまく会話ができずに悩んでいる発達障害の子がたくさんいます。相手の受け答えを聞かずに熱弁をふるってしまったり、相手の話を最後まで聞けなかったり……。 【画像】死刑囚が「アイマスク」をするヤバすぎる理由 発達障害の子は、ほかの多くの子とは異なる、ユニークなコミュニケーションのスタイルをとっています。彼らに合った場面で、同じ波長の仲間となら、気持ちよく話ができることもあります。ですから、「うまく話すことより、楽しく話すこと」を目標にしてサポートしたいものです。 ここでは、『発達障害の子の「会話力」を楽しく育てる本』(藤野博監修、講談社刊)のエッセンスを、全8回にわたって紹介。発達科学の知見に基づきながら、発達障害の子が楽しく会話力を伸ばしていくためのヒントを探っていきましょう。今回は、ASD、ADHD、LDという発達障害のタイプ別に、子どもが向き合う課題についてみていきます。 発達障害の子の「会話力」を楽しく育てる 第2回
自閉スペクトラム症の子は、話のすれ違いが問題に
自閉スペクトラム症(ASD)の子は、言葉の発達に遅れがなければ、基本的には日常的な会話ができます。ただ、一見、会話になっているようで、話がすれ違っていることがあります。 多くの子は、人の気持ちに自然と意識を向けることができます。一方、ASDの子は、人の気持ちより言葉や事実に意識が向きやすい特徴があり、ほかの子との違いが目立つことがあります。 また、学校で先生や友達と話しているときに、相手の様子をみながら発言を調整するのが苦手です。そのため会話が一方的になりやすく、さまざまな困難や悩みにつながります。 話し言葉だけでなく、作文などの書き言葉でも、文脈でつまずきがみられることがあります。内容が作文のテーマからずれていたり、本人の興味や知識が優先され、重要な説明が省かれていたりして、第三者が読むと、なにを伝えたいのかよくわからないことがあるのです。 まわりの人がASD の子のこだわりを個性として尊重するとともに、「空気を読む」「話し方を調整する」など、その子の苦手な面を補って、会話力が育ちやすい環境をつくっていく支援が必要です。