初の映画単独主演を務めたFANTASTICS・八木勇征「海ちゃんの一言にグッときました」映画『矢野くんの普通の日々』
ダンス&ボーカルグループFANTASTICSのボーカルであり、俳優としても活躍中の八木勇征が主演を務める映画『矢野くんの普通の日々』が11月15日より公開された。 【HOMINIS撮りおろし】映画『矢野くんの普通の日々』で主演を務めるFANTASTICS・八木勇征 同作は田村結衣による人気ラブコメ漫画の実写映画化。超不運体質な男子高生と心配性な女子高生をはじめとするクラスメイトたちの日常を描いたストーリー。 今回は八木にインタビューを行い、本作の魅力や撮影中のエピソードについてたっぷりと語ってもらった。 不運体質な矢野くんから「妖艶さや色気を感じました」 ――原作や脚本などを通して感じた物語の印象を教えてください 「矢野くんという特殊な1人のキャラクターがいることによって、日常の当たり前が全然当たり前じゃないことに気づかされる作品だなと思いました。もともと原作を読んでいたときには、矢野くんの怪我の描写に妖艶さや色気を感じていました。実際、原作だとヒロインの吉田(清子)さんは、血を流している矢野くんを見てドキッとしていたんです。そういうところからも、今までの少女漫画とはまた違ったベクトルの作品だなと感じました」 ――そこの妖艶さを演じる時には意識されたのでしょうか? 「意識はしたものの、映画では直接的な怪我のシーンはなかったので、よりポップでよりコミカルでかわいらしさのある作品になっていると思います。それでいて、原作ファンの人が見たときには新しい『矢野くんの普通の日々』なんだなって感じてもらえるんじゃないかなと」 ――もともと原作を読んでいたというのは、映画が決まる前から? 「はい。普段から漫画をめちゃくちゃ読むんですけど、SNSで1巻の表紙を見た時から、すごくインパクトがある見た目だなってすごく気になっていたんです。それで気になって読んでみたら、めちゃくちゃ平和だし、悪い人が1人も出てこない。それでいて矢野くんから色気を感じる、こういう漫画って見たことないなと思いハマっていきました」 ――読み進めていく中で、どういう感想を持ちましたか? 「本当にハッピーな気持ちにもなるなと思いました。それから、矢野くんが喉から手が出るほど欲しい"普通の日常"って、僕たちが普通に過ごしいてることだなと思わされて、今まで過ごしてきた毎日って、すごい尊いものなんだなと感じるようになりました」 中村海人の一言で、座長の立ち位置に気付かされたことも ――座長を務めるにあたって、最初はプレッシャーを感じていたとのコメントを拝見しました。具体的に、どのようなことを意識して現場に入られたのでしょうか? 「まずは自分が引っ張ろうと思っていました。撮影現場のスタッフのみなさんにも、共演者の方にも楽しかったなって思ってもらえるような現場になったらいいなと思っていて、演技の経験が浅い方も多かったので、自分自身の役者人生の中で軸になる現場になってほしいなと考えていました」 ――実際に座長を経験してみて、いかがでしたか? 「経験してみて気づかされたのは、自分が引っ張るというよりも、たくさんのスタッフさんやキャストの皆さんに支えてもらっているんだなということです。実は最初、ムードメーカーを担ったほうがいいのかなと思っていたんですけど、現場に入ったら海ちゃん(中村海人)が「俺がちゃんとそこは支えるし」って言ってくれてグッときました。話していくうちに思ったんですけど、海ちゃんってきっと自分から"ムードメーカーやります"っていうタイプじゃないんです。それなのに、作品を良くするために熱量高く協力しようとしてくれているのが、すごく嬉しかったんです。座長ってかなり周りに支えてもらっているんだなって実感しました」 声のトーンを2段階上げた理由 ――矢野くんを演じる上で意識した点を教えてください 「実年齢よりも10歳若い役なので、高校生のような気持ちを持つことと、高校生に見えないといけないなということは意識していました。いざ現場に入ると池端さんを含め、現役高校生のキャストの方が複数人いたので、その子たちのおかげで、フレッシュさ溢れる画が撮れたのではないかと思います」 ――高校生らしいフレッシュさというのを、八木さん自身はどう解釈しましたか? 「僕自身がそうだったのですが、高校生って高校の中の世界がすべてなんです。高校での出来事が自分の中での物語でもあり、人生のすべて。だから、そういったところで感じる感情が100%だと思いましたし、70%くらいの曖昧な感じがなかったなと思い返しました。なので、矢野くんが憧れていた何気ない日常の一つひとつの出来事に対して、全力で感動するようにしましたね」 ――小川プロデューサーが八木さんと矢野くんが似ていると言っていたのが印象的でした。ご自身で近しいと思ったポイントはありますか? 「少しポヤっとしてる部分ですかね。それから嬉しかった出来事に対して120%の感情で喜ぶ点も共感できる部分だなと思いましたね」 ――声も普段よりも高くされているのかなと感じました。それはなぜでしょうか? 「そうですね。ワントーン、ツートーンぐらい上げて会話するのを意識しました。自分にとってのトラウマを話す時も、暗いシーンにはしたくなかったんです。矢野くんがかわいそうな人には見えてほしくないなっていう想いもありました。新庄監督と話し合って、応援したい、みんな幸せになってほしいと思ってもらえたらなと工夫しました」 撮影中「怪我をするような動きに慣れた」 ――怪我のシーンやびっくりするようなシーンがたくさんありました。アクションシーンについても教えてください 「実は『HiGH&LOW』でお世話になったみなさんが、今回も指導に入ってくださいました。ただ『HiGH&LOW』のときは、殴る蹴るなどのわかりやすい動きのアクションが多かったのに対して、今回は怪我をするシーンでふとした時のアクシデントをどう演じるかという指導でした。だから、そこはすごく大げさに、見ている人が何が起こるんだろうってハラハラするような動きを意識しましたね。アクションチームの方とも"どういうのが一番リアルさもありながら、派手な怪我に見えるんだろう"と相談し合いながら撮りました」 ―― 殺陣のように細かく動きを決めて、その通りにやっていったのでしょうか? 「そうですね。つまずいてから、木製の案内に頭をぶつけて、そこから自分の鞄に滑って...と殺陣みたいに流れが決まっていたので、難しかったです。何回もテイクを重ねました。何回もチャレンジするうちに、ちょっと怪我をするような動きに慣れてきちゃっていました」 ――怪我のメイクも印象的でした 「あれは、僕はメイクさんや衣装さんが大変そうでした。前のシーンとの繋がりを意識しなきゃいけなかったので、大変だったと思います。そういうのを徹底的に意識してくださっていたからこそ、画的にもすごくいいものになったと思うので、感謝しかないです」 矢野ドリームならぬ、八木ドリームは? ――撮影現場で八木さんが予期しなかったハプニングはありましたか? 「現場にいて"まじか!"と思ったのは崖のシーンの撮影の時ですかね。そのシーンでザリガニに指を挟まれるんです...。もともと台本に書いていなかったのもあって、なんでザリガニがいるんだろうと思いながらも、映像で見た時はリアルで笑っちゃいました」 ――作中で矢野くんが日常生活のやって見たかったことを"矢野ドリーム"と言われているシーンがありました。ぜひ八木さんの"八木ドリーム"を教えてください 「実は、この作品、まだ打ち上げができていないんです。なので、みんなと打ち上げをすることが今の僕の八木ドリームです!」 文=於ありさ 撮影=MISUMI
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