F1ドライバー角田裕毅選手が2024年シーズンを総括 「ダニエル・リカルド選手から多くを学んで成長できた」
本田技研工業は12月15日、2024年のモータースポーツ活動を締めくくるファン感謝イベント「Honda Racin 2024 SEASON FINALE」を開催。その中でF1ドライバー角田裕毅選手による、2024年シーズンを振り返るインタビュー取材が行なわれた。 【画像】F1ドライバー角田裕毅選手 ──チームメイトを上まわる結果を何度も残した今シーズンの自身のパフォーマンスについて、どのように評価していますか? 角田選手:2023年と比べていい成績を残せ、ステップアップできたこと。また、コンスタントにチームメイトに勝てたのはよかったです。あとは自分的に足りない部分をダニエル・リカルド選手からたくさん学び、勝ちつつ吸収できたのはよかったと思っています。 ──この前のレッドブル・レーシングでのテストは、メカニックとかエンジニアとか初めて作業する機会だったと思いますが、イタリア的な温かさのあるRB(レーシングブルズ)のプロセスやアプローチとは異なるのでしょうか? 角田選手:違うと言ってもチーム内の明るさなどは似ていて、レッドブルのチームもワイワイと本当にエネルギーが高い。街のパブ(酒場)で見るような感じの雰囲気が、メカニック同士だけでなくチーム内に漂っています。エンジニアの部分での違いを何か1つ挙げるとしたら、レッドブル・レーシングのほうが、1つ1つのコメントに対して、より深くまで結構追求してくるなっていう感じはありますね。僕が感じたことを聞き逃さなかったり、さらにどういう風にと詳細な部分までかなり聞いてくる。あとは本当にお互い遠慮なくコメントをぶつけ合う、今のチームにないわけでなないけれど、そういったエネルギーが凄く多いなって感じました。 ──今シーズンの学びあるいは成長した点、手応えがあったことは? 角田選手:レースではやっぱり気持ちのアップダウンが凄くあるわけで、フリープラクティス、練習走行、予選、決勝と多くのセッションがありますが、特に予選までにうまくいかないセッションがあると、そのフラストレーションの溜まった気持ちのコントロールが、リカルト選手は成熟しているなと。 セッションの直後にミーティングが設けられるのですが、2年前はチームメイトに離されたり、自分の描いたアタックラップにできなかったり、わるいセッションがあるとフラストレーションが溜まった状態でミーティングに入っても、結局マシンのフィードバックもうまくいかない。 リカルト選手もドライバーだから同じような部分もあると思うけれど、どんな時もミーティングでは毎回声のトーンも同じだし、フィードバックの細かさもコンスタントに出せる。フラストレーションがあるのも分からないぐらい平静で、気持ちのコントロールの成熟さを感じた。 当然エンジニアはミーティングでマシンのことを知りたいわけで、ドライバーの気持ちは全く要らないので、気持ちの切り替えにメリハリを付けられるようになり、効率もよくなったと感じています。 ──今年の途中から新たに加入したリアム・ローソン選手の凄さや、学びはありましたか? 角田選手:まだ具体的にはないですが、逆に責任感が増しました。ローソン選手はまだこのチームでの経験が少ないし、チームがどういうプロセスで動いていくかを僕のほうが分かっているので、僕が引っ張っていかなきゃいけないなって責任感が増した中で、チームを引っ張っていく能力が鍛えられたかなという思いはあります。ただ、ローソン選手は、マシンへのアダプト(適応)能力は高いと思います。昔から一緒に走っていたので、速いのも分かっています。 ──レッドブル・レーシングのマシンと、RB(レーシングブルズ)のマシンの違いは? 角田選手:細かくは言えませんが、一番大きかったのは周回数の多いレースを走った時にタイヤのもち方が全然違うなっていうのはあります。要因はいろいろありますが、特に高速コーナーになればなるほど、そこでのスライド量が違う。高いGで長い時間滑ればタイヤへのダメージも大きくなる、それが周回数ごと、コーナーごとにダメージが積み重なっていく。結果的にレッドブル・レーシングのマシンのほうがダウンフォースも大きく、タイヤも長持ちして、安定して走りやすいなって感じました。 ──「自身のドライビングスタイルに向いている」といったコメントをしていたようですが、どのあたりで感じたのでしょうか? 角田選手:初めてのマシンなので、どんな感覚なのか興味はありましたが、すぐにアダプト(適応)できるかという不安もありつつ、いざ乗ってみたら全然すんなりと乗れるなって感じのマシンだったし、エンジンも同じホンダさんのを使っていることもありますし、操作性などドライバビリティは自分の体に染みついているものなので、特に違和感なく走れたし、変な挙動などもなかったです。 ──レッドブル・レーシングのクルーからは、どのような評価を受けたのでしょうか? 角田選手:現場にいたエンジニアからも、バックグラウンドのエンジニアからも、自分のフィードバックには感銘を受けたと聞いています。そこがそもそもターゲットでありましたし、恐らくレッドブル・レーシングは速さよりも、フィードバック能力やマシンやピットでの立ち振る舞いなどを注視すると思っていたので、いつも通りにできるかぎり細かく伝えるようにしました。
Car Watch,編集部:塩谷公邦
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