<司書のコレ絶対読んで>竜倒すための謎かけに挑戦…「二分間の冒険」岡田淳著
西宮市立図書館 大江 彰誉(あきよし)さん
魔法の世界に迷い込んだ小学6年生の主人公・悟が竜と戦う王道ファンタジー小説です。1985年の発売以来、多くの子どもたちを魅了し、読み継がれてきました。 【画像】大江彰誉さん
著者は、兵庫県西宮市立小の元図工専科教諭で、児童書「こそあどの森の物語」シリーズなどを手がける神戸市在住の児童文学作家・岡田淳さん(77)。
物語は、岡田さんが得意とする学校の日常から始まります。悟が落とし物の「とげ抜き」を保健室に届けに行く途中で黒猫「ダレカ」に出会い、魔法の世界に迷い込む。タイムリミットは、現実世界の「2分間」。さあ、大冒険の始まりです。
竜と戦い、負けると時間を奪われ、老人になってしまう。竜を倒すためには、謎かけに勝たなければなりません。
<少年たちよ、わたしのなぞにこたえよ。見えているのにけっしてとどかず、生まれてから死ぬまえの日まであるもの。それはなんだ>
小学生の頃、物語を読み進めながら主人公と一緒に考え、答えがわかるとうれしくて。「若さと老い」や「時間」が繰り返しテーマとして出ており、大人が読んでも「ワクワク、ハラハラ」、読み応えがあります。
図書館で岡田さんに偶然お会いし、握手をしてもらったこともあり、思い入れのある一冊です。
子どもの頃から本が好きで、読み始めるとご飯の時間を忘れて読みふけってしまったほど。大学卒業後、民間企業での司書経験を経て、2022年4月に念願の市立図書館司書になりました。今は、大人向けの企画や本を担当しています。「こんな本もあるんだ」と知ってもらえるような工夫をしていきたいと思います。 (聞き手・加藤あかね)
【図書館メモ】
西宮市立図書館は市内4か所の図書館と7か所の分室からなり、蔵書は計約100万冊。スポーツイベントで絵本を読み聞かせたり、民間企業と連携した防災イベントで関連本を紹介したり、館外でも積極的な読書活動を展開している。
*街や学校の図書館で働く司書の皆さんに、オススメ本を紹介してもらいます。