新型ホンダ・フリードのライバルはトヨタ・シエンタ以外にないの?注目すべきは日産の動向か
新型フリードの登場でコンパクトミニバン市場はどうなる?
コンパクトミニバンとは、維持費を抑えるためエンジン排気量を1.5L以下に抑えつつ、全長4.3m前後の5ナンバーサイズボディに電動スライドドアが備わり、6名以上の乗車が可能なクルマを指す。 この条件に合致するクルマは現状ではフリードとシエンタしかない。 だが、条件をわずかに緩和するだけでライバル候補は一気に増える。乗車定員5名以下ならルノー・カングーやシトロエン・ベルランゴ。全長4m以下のクルマを含めればトヨタ・ルーミーやダイハツ・トール、スズキ・ソリオや三菱・デリカD:2なども候補に挙がる。 もっともライバルに近い存在は日産NV200バネットだ。ただし、NV200バネットには最大で7名が乗車可能な広い室内空間が備わるものの、エンジン排気量は1.6Lであるうえ商用車ベースであるため直接の対抗馬とするにはやや無理がある。 その日産も、以前からコンパクトミニバン市場に参入するという噂が絶えないが、ここへ来てそれが信憑性を帯びてきている。 2024年3月に公開された経営計画のなかで、日産の内田誠社長は「日本市場に5車種の新型車を投入する」と述べた。ライバルがフリードとシエンタの2台しか存在しないコンパクトミニバン市場は日産にとって格好のターゲットであろう。 ただしフリードとシエンタの関係から分かるように、条件が著しく限定されるコンパクトミニバンで人気を奪うには、フリードにもシエンタにもない価値が求められる。 日産が擁するe-POWERなら、コンパクトミニバンに新しい付加価値を与えられるだろう。しかしe-POWERは一般的なハイブリッドカーに比べて大型のバッテリーを搭載する必要があるため、もっとも肝心な利便性と経済性が必ず犠牲になってしまう。 かといって、いたずらにボディを拡大すれば今度は自社のセレナと共食いがはじまる。その点では、自社でMクラスのミニバンを持たず、軽自動車開発で培った省スペースノウハウが活かせるスズキのほうが参入障壁は低いと言えそうだ。 いずれにせよ、今後のコンパクトミニバン市場の動向は、登場が待たれる新型フリードの完成度次第で大きく変わるだろう。
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