補聴器とは何が違う? アップルがAirPods Pro 2で可能にした「聴覚サポート」の高度な技術的アプローチ
健康診断などでは簡易的に1kHzと4kHzの2つの周波数でテストし、30dBHL以下の音を聞き取ることができれば「正常」と診断される。 AirPods Pro 2を用いたテストでは125~8kHzまで、7段階の周波数に対する応答を、左右それぞれにチェック可能だ。プロセスはおよそ5分間で実行できる。 アップルは日本法人名義で管理医療機器販売者となり、厚労省にこのソフトウェア機能を登録している。 内容は健康診断などで行う聴力テストとほぼ同じだ。ボタンを押す代わりにアプリの画面をタップする。健康診断等では簡易的に2つの周波数で計測されることが多いようだが、その点においてより厳密にテストされていると言える。
アップルは2019年からWHOと一緒にヒアリングスタディという臨床調査を行ってきた。200人の難聴の被験者や従来のオーディオ機能のテスト結果によるものなどを比較しながら機能をテストし、ランダム比較テストを行ったところ、より厳密な医療機関でのテスト結果とのWHO分類は、81%の一致度を示した。 アップルが管理医療機器販売者として登録したもう1つのソフトウェアがヒアリング補助だ。 ヒアリングチェックで得られたオージオグラムに基づき、ユーザーの聴力を補うために、どのように音を増幅するのかを設定することで、聴覚に合わせた聞こえ方の補正を行う。
要するに聞こえにくい周波数の音を補うことで、聞きやすくするものだ。ヒアリングチェックにはiPhoneかiPadが必要だったが、ヒアリング補助に関してはmacOS Sequoia以降を搭載したMacとAirPods Pro 2をペアリングした場合でも利用できる。 18歳以上の軽度から中程度の難聴が認められるユーザーへの使用を目的としていると、アップルは説明している。 実は、この機能は2つの経路でユーザに価値を提供している。