《がっかり&よかった今年のドラマランキング》キムタク主演を抑えた“がっかり1位”は永野芽郁作品
大河のような重厚感
続く3位は、 「神木隆之介は天才だと改めて思った」(埼玉県・44歳)、「脚本家の野木亜紀子さんは本当に細部まで考えていてすごい」(神奈川県・48歳) 最終回を迎えたばかりの『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)がランクイン。石炭産業で栄えた長崎県・端島と、現代の東京を舞台に70年にわたる愛と友情、そして家族を描いた壮大なストーリー。神無月さんは、 「野木さんは、過去の名作『アンナチュラル』や『MIU404』でも知られるように、サスペンスと人間ドラマを巧みに描く腕前には定評がありますが、今作は端島(軍艦島)のドキュメンタリー要素も相まって、大河ドラマのような重厚感も加わったと思います。 すべてのキャラクターがちゃんと人生を背負っているので、家族を見守るような気持ちで没入できるのが野木ドラマの良さですよね。ぜひ大河ドラマや朝ドラも書いてほしいです」 と絶賛。 続いて、 「ヨウコ先生がカッコよすぎて同性なのに惚れた」(福岡県・37歳)、「未知のウイルスに関するくだりがリアルで、初期にコロナに感染したクドカンだからこそ描けるのだと思った」(静岡県・49歳) 2位にランクインしたのは『新宿野戦病院』(フジテレビ系)。朝ドラ『虎に翼』とキャストがかぶったことでも話題に。ユーモラスな会話を繰り広げながらも社会問題の核心を突いた同作。ドラマに詳しいライターの成田全さんは、 「クドカンらしい笑いとテンポがありながら、コロナ禍初期を思い出させ、そのときに多くの人が感じた不安や違和感を描いていました。クドカンが早い時期にコロナに罹患したため、普段の脚本とは違う思いが込められていたのだと思います」
「可視化されなかったこと」にスポット
栄えある1位は、 「毎週、待ち遠しかった」(山梨県・28歳)、「ミュージカルパートもハマった」(宮城県・60歳) 2位と同じく宮藤官九郎脚本の『不適切にもほどがある!』。略して『ふてほど』は今年の流行語大賞にもなったほど。昭和と令和をタイムスリップする教師(阿部サダヲ)のハートフルコメディー。 ランキングを見た成田さんは、 「宮藤官九郎脚本の作品が話題を集めた年だったと思います。ただクドカン脚本は推進力はあるけれど、ことジェンダーの問題となると描写が雑になるのが浮き彫りになってしまった感は否めないですね。 そうした問題も含め『可視化されなかったこと』にスポットが当たったドラマが多かったように思います。出産と格差問題を描いた『燕は戻ってこない』、学びを通じて自身の可能性を見つめた『宙わたる教室』、自閉スペクトラム症の弟と暮らす『ライオンの隠れ家』、独身女性とシングルファーザーが同居する『西園寺さんは家事をしない』などが入ったのは、さまざまな境遇にある人たちの生活や心情が丁寧に描かれたから。いい物語は人の心を育てるもので、多様な人々が描かれるドラマはさらに増えると思います。 そして昨年ドラマ化された『セクシー田中さん』の原作者・芦原妃名子さんの死が大きな影を落とした一年でもありました。原作をどう扱うのか、ドラマで何をどう描くのかについて話し合う重要度が増し、今後は、合議制のもと複数の脚本家が携わる『3000万』のような制作方法が増えるのではないでしょうか」