J3大宮を買収のレッドブルがWEリーグの〝救世主〟に CEO「女子チームにも貢献」と意欲
日本サッカー界でも〝レッドブル旋風〟が吹き荒れるか。J3大宮の全株式を取得して買収したオーストリアの大手飲料メーカー「レッドブル」が6日に都内で会見を開き、今後のチーム運営や強化方針などについて説明した。年明けには世界的名将のユルゲン・クロップ氏(57)が来日するなどビッグクラブ化へ期待が高まる。さらに女子チームの改革も明言し、人気低迷にあえぐWEリーグの救世主としても脚光を浴びそうだ。 レッドブルのサッカー部門は本国のオーストリアのほか、ドイツ、米国、ブラジルでクラブを運営。日本は国外で4か国目の進出となった。オリバー・ミンツラフCEOは「日本は素晴らしいスポーツの国。埼玉という場所もスポーツに力を入れている。大宮というチームは〝眠れる巨人〟と言っていいほど、大きなポテンシャルを見た」と買収先として大宮を選んだ理由を説明した。 レッドブルは各国で運営するクラブを強豪に育て上げた実績があり、大宮のビッグクラブ化も期待される。今季J3で優勝して来季のJ2昇格が決まった大宮の今後について、元ドイツ代表エースでテクニカル・ディレクターを務めるマリオ・ゴメス氏は「J2で10年もプレーする気は全くない。できるだけ早いうちにチームを強くして、J1でも(アジア)チャンピオンズリーグなどに出られるレベルの順位になるようにやっていきたい」と豪語した。 来年1月1日にはリバプール(イングランド)やドルトムント(ドイツ)など世界屈指の名門を指揮したクロップ氏が、レッドブルのグローバルサッカー部門責任者に就任予定。「来年1月に来日して、いろんなことを話し合うことになっている。彼にとっても非常に興味のあることだと思う。まずチームを視察する」とミンツラフCEOは語り、MF香川真司(C大阪)やMF南野拓実(モナコ)なども指導した手腕を大宮でも発揮することが期待される。 世界レベルのノウハウは女子部門にも注入される。ミンツラフCEOは「女子サッカーはレッドブルにとっても大きな比重を持っている。ライプチヒ(ドイツ)もブラジルのチームも1部でプレーしている。昨日トレーニングを見る機会があり、その時に選手の何人かと話をした。私たちは、男子チームと同じように女子チームにも貢献して強くしていきたい」と意欲を見せる。今後はWEリーグに所属する大宮Vの強化にも乗り出し、世界レベルの指導者招聘や選手獲得へ動いていくことになりそうだ。 レッドブルによる大宮Vへの関わりは、人気低迷の危機にあるWEリーグにも好影響を及ぼす。リーグレベルの向上に加えて、テレビ局関係者が「話題性があるので取り上げやすくなる」と話すように露出面でもインパクト大。女子サッカーの人気獲得へプラス効果が見込めるのだ。 日本サッカーで男女ともにレッドブルの快進撃に注目が集まる。
渡辺卓幸