NHK大河で「江戸時代の異才」にスポットが当たる…大発明家・平賀源内が獄中で迎えた"悲しい最期"
■弥七の裏切りに激怒する中、新たな仕事が ところが間もなく、別人がエレキテルを模造し、実験をマネするようになった。しかも、模造品をつくるのに手を貸していたのは、あろうことか、職人の弥七だったのである。 それだけではない。弥七は「源内がエレキテルをつくるのに資金が必要だ」とウソをついて、人びとから金を集めていたのだ。 これに激怒した源内は、すぐに弥七を町奉行所に訴えた。が、それからわずか1年後、源内は殺人を犯してしまう。 秋田屋(米屋)の息子・久五郎(異説あり)は、武家屋敷の工事を請け負うことになったが、たまたま請負額を知った源内が「俺ならずっと安くできる」と豪語し、半額以下の見積もり仕様書をつくった。 噂を耳にした久五郎は、真偽を確かめるために源内宅を訪れ、仕様書を見せてもらった。 すると、非の打ち所のない内容だった。感心した久五郎は、共同で武家屋敷の工事にあたろうと提案。喜んだ源内は酒を出し、久五郎と自宅で酒宴をはじめた。宴会は夜遅くまで続き、疲れ果てて二人ともその場で寝てしまった。 ■被害妄想で久五郎を殺してしまった 朝方、先に目を覚ました源内だが、手元にあったはずの仕様書や図面が見あたらないではないか。「さては、久五郎が盗んだにちがいない」、そう思いこんで横に寝ていた久五郎をたたき起こし、問いつめたのである。 いきなり起こされて言いがかりをつけられたので、久五郎もご機嫌斜めだ。だから源内に向かって「本当に盗んだとしても、誰がお前なんかに言うものか」と吐き捨てた。 この返答を聞いて頭に血が上った源内は、いきなり刀の鞘を払うと、久五郎の脳天めがけて白刃を振り下ろしたのだ。 頭をかち割られて仰天した久五郎は、そのまま表に飛び出し逃げていった。 とどめを刺そうといったん外に出た源内だったが、「どうせあいつはまもなく息絶えるだろう。そうなれば、俺も死罪を免れぬ」と思い直し、自刃を決意して室内に戻った。 事実、まもなく久五郎は死去した。 かくして切腹前に屋内を整理していたところ、なんと、例の図面や仕様書が出てきたのである。つまり源内は、被害妄想から久五郎に濡れ衣を着せて殺してしまったわけだ。