【オーストラリア】〔政治スポットライト〕豪、70億$で米から長距離ミサイル調達
オーストラリアのコンロイ国防産業相は22日(現地時間21日)、米ワシントンでデルトロ米海軍長官と会談し、オーストラリア海軍の戦闘艦隊が使用する長距離ミサイル数百発を米国から調達することで合意した。調達額は70億豪ドル(約7,020億円)。中国が対艦弾道ミサイル(ASBM)への投資を加速させていることを念頭に、インド太平洋地域での抑止力を強化する。 米アリゾナで製造される、スタンダードミサイル2ブロックIIIC(SM―2ブロックIIIC)とSM―6を調達する。射程はそれぞれ160~370キロメートル。発射管48基のホバート級駆逐艦3隻と、2030年代初頭から就役予定のハンター級フリゲート艦(発射管32基)6隻に配備される予定のため、数百発のミサイルが調達されるとみられる。 SM―6は終末段階の弾道ミサイルを迎撃することが可能で、対艦攻撃能力も持つ。米国は既に、イランなど中東からの弾道ミサイルの脅威に対抗するため、SM―6を使用している。 オーストラリアのミサイル調達は米議会に承認されているが、コンロイ氏は配備時期などの詳細は明かさなかった。 オーストラリアは8月、ハワイ近海で行われた演習で、米国以外で初めてSM―6の発射実験を行っていた。 ■「大戦以降最大の軍拡競争」 コンロイ氏は、「太平洋では第二次世界大戦以降で最大の軍拡競争が繰り広げられており、戦略的な不確実性も高い水準にある」とし、紛争を回避するための抑止力への投資が必要だと主張した。 昨年行われた国防戦略見直しでは、「オーストラリアの防衛はもはや、遠隔地であるという地理的な利点に頼ることはできず、国防軍は緊急に重層的な防空・ミサイル防衛能力を備える必要がある」とされていた。 コンロイ氏は今年、ニューサウスウェールズ州ニューカッスル空港近くに長距離ミサイルの製造工業を開設すると発表しており、ミサイルへの投資が加速している。