メル・ギブソンとダニー・グローバーの凸凹刑事コンビが活躍!バディアクション映画「リーサル・ウェポン」
バディものというのは数多ある映画のジャンルの中でも王道のひとつ。性格が真反対の2人がはじめは反目しあいながらも、徐々に距離を縮め、問題や敵に立ち向かっていくストーリーというのはいつの時代も根強いファンがいる。 【写真を見る】「リーサル・ウェポン」より 刑事ものと限定しても『バッドボーイズ』や『メン・イン・ブラック』など名作は枚挙にいとまがないが、中でも人気なのが1987年に公開された『リーサル・ウェポン』だ。 本作はアクション映画で、バディものの代表作のひとつ。ロサンゼルス市警殺人課のベテラン刑事ロジャー・マータフ(ダニー・グローバー)の元に、薬物対策課から若い刑事マーティン・リッグス(メル・ギブソン)がやってきて、2人でバディを組むところから物語はスタートする。黒人刑事マータフが家族思いで、家族にも愛される人間なのに対し、リッグスは数年前に愛妻を亡くし自暴自棄に。しかし、リッグスもマータフとの出会いを経て、少しずつ変化が見えてくるという人間ドラマ的な側面もみられる。 後にシリーズとなり、2人の掛け合いが見どころとなっていくが、第一作目の本作はシリアスな印象が強い。売春婦の飛び降り自殺をきっかけに、CIA特殊部隊のOBたちによるヘロイン密輸組織が浮かび上がり、バディと家族をも巻き込む全面対決が描かれている。 やはり魅力的なのがメル・ギブソン演じるリッグスのキャラクター。愛妻の死をきっかけとし、自殺願望もあることから、死をも恐れない無謀な捜査が目立つ。一方で、敵と対峙すれば、恐ろしいほどに強い。銃の腕前もピカイチなら、肉弾戦でも相手を次々となぎ倒す。メル・ギブソンの「イかれてる」演技も光り、序盤の目が据わっているリッグスはどこか狂気をはらむ。 そんなリッグスの相棒を務めるのが、ダニー・グローバー演じるマータフ。典型的な家族を大事にする刑事を演じ、リッグスとは対照的なキャラクターだ。馬が合わないかと思いきや、意外にも2人は仕事に向かっていく中ですぐに心を通わせていく。リッグスが人間らしさを取り戻し、マータフも熱い一面を垣間見せるなど、ともに影響し合っているように見えた。とりわけ、はじめはまさに"狂犬"という様子だったリッグスがマータフの家族と普通に交流し、軽口をたたく姿は微笑ましい。 だが、リッグスがどれだけ人間らしさを取り戻そうと、本作最大の見せ場はその破天荒とも言える戦いっぷりだ。とりわけラストでの相手組織との対決では、体ひとつでマータフとその娘を救う活躍を見せたかと思えば、車で逃げた親玉を走って追いかけるという超人的な動きも見せる。 映画全体を通しても古き良きハリウッド映画らしいアクションシーンは随所に見られる。車の爆破や水道管の破裂、激しいカーチェイスなど刺激たっぷりのアクションは何も考えずに楽しむことができる。だからこそ、最後のバトルは武器も使わない"泥試合"がより際立つ。すでに制圧している相手に対し、リッグスが"果たし合い"を申し込むわけだが、もはやツッコむのが野暮とさえ感じられる。戦うリッグス以上に熱くなるマータフの姿もあり、最後のとどめの瞬間も含めて2人の距離が縮まったことを実感できる名シーンだろう。 後に人気シリーズとなる本作は、『ダイ・ハード』など名作アクション映画にも大きな影響を及ぼしている。名俳優であるメル・ギブソンにとっては出世作であり、若かりし彼の破天荒な戦いっぷりからは目が離せない。続編にもファンが多い『リーサル・ウェポン』だが、すべての始まりとなる本作を鑑賞しておいて損はないはずだ。 文=まっつ
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