利下げ前にインフレ沈静の証拠さらに必要-FRB当局者が相次ぎ強調
(ブルームバーグ): 米金融当局者が18日、利下げ前にインフレ沈静化を示すさらなる証拠が必要だと相次いで強調した。利下げが見込まれる時期についても数人が見解を示した。
米連邦準備制度理事会(FRB)のクーグラー理事は経済状況が自身の予想通りに展開すれば、「年内のある時点」での利下げが適切になる可能性が高いとの見解を示した。
セントルイス連銀のムサレム総裁は就任以来初の金融政策に関する講演で、利下げを裏付けるデータを見極めるには数カ月ではなく「数四半期」かかる可能性の方が高いと述べた。
ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁とリッチモンド連銀のバーキン総裁は具体的な利下げ時期の時間枠を示すことを控えたものの、両総裁も含めいずれの当局者も政策の方向性を判断する上で経済データが果たす役割が重要だと強調した。
金融当局者はここ1年近く政策金利を二十数年ぶりの高水準に維持しているが、利下げを急いでいないと見受けられる。先週公表された最新の金利予測分布図(ドット・プロット)で当局者は年内に予想する利下げ回数を減らし、中央値で1回とした。3月時点は3回としていた。
米インフレ率は昨年下期に急減速した後、金融当局者の予想を裏切って今年1-3月(第1四半期)に再び加速。このところの物価データは心強い内容となっているものの、当局者は慎重姿勢を崩していない。ボストン連銀のコリンズ総裁は18日、「1、2カ月の明るいニュースに過剰反応」しないことが重要だと指摘し、この点をあらためて強調した。
コリンズ総裁はその後、ヤフー・ファイナンスのインタビューで、現状を踏まえて年内に1回もしくは2回の利下げを想定しているかとの質問に対し、「両方に合致したシナリオが想定可能だ」と答えた。
さらに、「先行きを展望しデータを見た結果、年内に適切となりそうと考えられる緩和の程度は減った」とも話した。
金融当局者の慎重姿勢はドット・プロットで当局者4人が今年の利下げはないと予測したことからも特に明らかだ。