生活保護を受給しているシニアの約9割が「おひとりさま世帯」。単身シニア世帯の貯蓄事情と家計収支
おひとりさまシニア世帯の貯蓄事情。平均貯蓄額はいくら?
次に、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」を参考におひとりさまシニア世帯の貯蓄事情を見ていきましょう。 上記資料によると、60歳代・70歳代のおひとりさま世帯の、平均貯蓄額は下記のとおりです。 ・60歳代おひとりさま世帯:平均値1468万円・中央値210万円 ・70歳代おひとりさま世帯:平均値1529万円・中央値500万円 平均値が2000万円前後であることから「貯蓄がしっかりできている」と思ってしまいますが、平均値は極端に高い値に偏る傾向にあるため、実態に近い中央値を参考にすると良いです。 おひとりさまシニア世帯の中央値は60歳代・70歳代ともに700万円で、平均値と1000万円以上の差が生じており、貯蓄の二極化が進んでいることがみてとれます。 次章にて、「貯蓄が全くない世帯」と「貯蓄が十分にある世帯」それぞれの割合を確認していきましょう。 ●おひとりさまシニア世帯「貯蓄ゼロvs貯蓄2000万円以上」どちらが多い? 金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」による、おひとりさまシニア世帯の貯蓄割合は下記の結果となりました。 60歳代・70歳代ともに、貯蓄2000万円以上の割合が2割を超える一方で、貯蓄ゼロ世帯も2~3割を占める結果に。 さらに、貯蓄2000万円以上を保有している世帯よりも、貯蓄ゼロ世帯のほうが割合として多いことから、生活が苦しいおひとりさまシニア世帯が多いとうかがえます。 では、貯蓄がないおひとりさまシニアでも、老後生活は送れるのでしょうか。
毎月約3万円の赤字に。おひとりさまシニア世帯の家計収支
総務省の「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」による、65歳以上の単身無職世帯における家計収支は下記のとおりです。 【65歳以上 単身無職世帯】 ・実収入(総支給額):12万6905円 ・可処分所得(手取り収入):11万4663円 ・消費支出:14万5430円 ・毎月の赤字額:3万768円 上記はあくまでおひとりさまシニア世帯の「平均的な家計収支」を示していますが、毎月約3万円の赤字が発生しています。 仮にこの赤字が30年間続くとすると、約1080万円の赤字補填が必要になり、貯蓄がゼロの状態であれば就労を余儀なくされるでしょう。 さらに、上記の赤字は「日常的な生活費」のみを考慮したものであり、実際には医療費や介護費、葬儀費用なども加味する必要があります。 このような状況から、貯蓄がないおひとりさまシニア世帯の生活はより厳しさを増すことが予想されます。