中国で人気上昇ギタリストMIYAVIさん 言葉や文化を超えて感じる心の交流 北海道新聞インタビュー
世界で活躍するギタリストのMIYAVI(ミヤビ)さんが、中国でのソロライブツアーを2023年に続いて展開しています。中国の歌唱番組に出演したのを機に人気がますます高まっており、11月30日の上海公演のチケット6千枚は発売開始から10分で完売。今年は上海、成都、広州の3都市、25年は中国で15都市以上のツアーを計画しています。政治の文脈ではなにかとギクシャクとしがちな日中関係ですが、アーティストとして中国にどのように向き合い、活動しているのでしょうか。上海公演を終えた翌日、話を聞きました。(北京駐在 古田夏也) ――昨日の上海のライブを終えた感想は。 「一番後ろの席の方まで楽しんでくれていた熱気が伝わりました。舞台に上がる人間として最高の喜びです。直前までニュージーランドで映画撮影をしていて、アクションシーンを撮ってそのまま荷造りし、飛行機に乗ってきたんです。リハーサルを12時間ぶっ通しでやって、その後のライブでした。僕だけでなくスタッフもみんな疲れていたと思うんですけど、みんなで頑張って1日目を終えることができ、良かったなと思います」 ――ライブハウスを回った昨年のツアーと比べて、会場の大きさが倍以上になりました。 「これまでのキャリアの中でライブハウスからスタジアムまでいろいろな場所で演奏をしてきました。アーティストとしては、ライブハウスの方が目の前にいるオーディエンス(観客)の体温までリアルに感じられるんですけども、会場の規模が5千、6千、1万人となってきた場合の楽しみ方はそれはそれであります。舞台で炎を使う場合に特別な申請が必要となるなど、日本やアメリカと比べれば少しだけ規制もありますが、舞台上の仕掛けを駆使することもできます」
――中国の観客の違いは感じますか。 「基本はみんな座って見るらしいんです。中国ではそれが当たり前だと聞いていたので、僕からはあおらないようにしていました。でも、ある曲で『Put your hands up(手を挙げて)』って呼びかけたら、みんな立ち上がっちゃいまして。(会場には)公安の人もいて僕があおったと思われたくないから、アーティスト人生の中で初めて『座って』って言いましたよ。僕らとしては着席でも楽しんでもらえればいい。コロナの時には無観客でのライブも経験していますしね」 「今はSNS(交流サイト)が当たり前にあって、アーティストがどこにいるとか、何をしているとか、情報が普通に入ってくる。その中で中国はある種、(情報が)統制されている影響もあるんだと思うんですけど、僕みたいな海外のアーティストが来るとなった時に、そこに対する興味とか熱みたいなものは、多分、他の国よりもあるんじゃないかな。日本でいうとビートルズが初めて日本に来たときのようなエンターテインメントに対する熱望、パワーをすごく感じます。中国のリアリティー番組『披荊斬棘的哥哥(ピージンジャンジー)』に出演した時にも感じました。立てない、ジャンプできないという規制はある中でも、曲やパフォーマンスへの没入感は高いと感じましたね」