「ご機嫌でいるのは決意」。医師が患者と向き合う中で編み出した言葉が、生きるのをラクにする【高尾美穂先生】
高尾美穂先生の「ご機嫌にする言葉」がちょうどいい
悩みや不安にさいなまれて心が弱っているとき、皆さんはどんな言葉をかけてほしいですか? 筆者が考えるに、叱咤激励だと刺激が強すぎて受け止めるだけの体力がないですし、「きっと大丈夫だよ」といった類の根拠のない甘言だとかえって不安が増長されてしまうかもしれません。 やはり、心がすり減っているときは、優しく包み込むような言葉で自分を甘やかさない程度になぐさめ、かつ鼓舞してほしい……これはちょっと欲張りすぎ? と思っていたら、ミモレでもおなじみの産婦人科医・高尾美穂先生が上梓した『人生たいていのことはどうにかなる あなたをご機嫌にする78の言葉』がまさにドンピシャのテイストで、ここに出てくる「ご機嫌にする言葉」の一つ一つが、拒絶反応を起こさずに心地よく胸に響いてきました。 まさに心の処方薬ともいえる本書から、高尾先生のお言葉とその解説を「自分の心」「対人関係」「人生」とテーマ別に抜粋してご紹介したいと思います!
高尾美穂(たかお みほ)さん 医学博士・産婦人科専門医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。イーク表参道副院長。ヨガ指導者。婦人科の診療を通して、女性の健康を支え、女性のライフステージに応じた治療法を提示し、選択をサポートしている。テレビや雑誌などメディアへの出演、SNSでの発信のほか、音声配信アプリstand.fmで『高尾美穂からのリアルボイス』を配信。体の悩みから人間関係や生き方・働き方にまつわる人生相談まで、リスナーからのさまざまな悩みに回答し、再生回数1000万回を超える人気番組となっている。著書に『心が揺れがちな時代に「私は私」で生きるには』(日経BP)、『オトナ女子をラクにする 心とからだの本』(扶桑社)、『更年期に効く 美女ヂカラ』(リベラル社)など。
自分の心を守り、良い状態を保てるようにコントロールする
あなたをご機嫌にする言葉(1) ご機嫌でいるのは決意 ご機嫌でいようと決意することで物事のマイナスの面ではなく、プラスの面が見えてくる。自分がそう決意すればご機嫌でいることはできるはず。 ご機嫌でいる、というのは決意だと思っています。私は朝起きるといつも、「今日も一日ご機嫌に過ごすぞ」と自分で決意するんです。この決意によって、想定外の出来事が起きても「まぁいいか」と思えるもの。 たとえば、ちょうど仕事に出かけようとしたときに、宅配便の方がインターホンを鳴らすという出来事が起きたとします。その方がマンションの一階から二つの鍵を開けて上がってくるのを待っていると、仕事に遅れるかもしれない。そんな状況でも「タイミングよく受け取れてよかった」「その方が重い荷物を何度も運ばなくてすんだ」という考え方ができれば、その出来事ですらご機嫌でいられる理由になるのです。 あなたをご機嫌にする言葉(2) 自分の心に鎧を着せる 体がむきだしだと大きなケガをしてしまうように、心もむきだしでは、ダメージが大きくなってしまう。だから、自分の心に鎧を着せて、自分を守ろう。 私たちは、人の発する言葉に傷つくことがあります。そんなとき、心がむきだしでは、ダメージが大きいですよね。私は中学生の頃に、あとから思えばいじめだったと考えられる経験をしました。そのとき、本能的に自分を守る方法を探し、たどり着いたのが、「心に鎧を着せる」ことでした。 心に鎧を着せる方法は、いくつかあります。 まず、「人は他の誰かから傷つけられる可能性がある」と知っておくこと。あらかじめ知っておけば、ダメージが減り、回復も早くなります。 そして、もし傷つけられたら、傷ついた自分の心をギュッと抱きしめること。「大丈夫、大丈夫」「気にしない」という言葉を自分にかけるのです。自分にはいいところがあるとちょっと開き直ることも、心にプラスに働くでしょう。