“鬼門”のプレミアプレーオフで初勝利。活動量を増やして「接近」徹底、“自分たちらしさ”出した岡山学芸館が磐田U-18を撃破!
[12.6 プレミアリーグプレーオフ1回戦 岡山学芸館高 1-1(PK4-2)磐田U-18 ホットスタッフフィールド広島] 岡山学芸館が“自分たちらしさ”を出し切り、プレミア初昇格へ前進! 高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2024 プレーオフ(広島)は6日に1回戦を行い、プリンスリーグ中国優勝の岡山学芸館高と同東海2位のジュビロ磐田U-18が対戦。岡山学芸館が1-1(PK4-2)で勝ち、プレミアリーグ初昇格へ王手をかけた。 【動画】アウェー中国戦の裏で起きていた珍事…日本代表FWがSNS上の声に反応「わざと」 岡山学芸館は5回目のプレーオフ挑戦で初勝利。高原良明監督が「今までは(技術力の高い相手に対して)こう臆病になって、“自分たちらしさ”みたいなのが出せずに終わってた大会だったんで。今回はもう思い切って自分たちの良さをしっかり100パーセント出して、それでやられたら仕方ないよねっていうところで、出さずして負けるのはやめようぜっていう話をしていました」。その言葉通りに110分間バトルした岡山学芸館が強豪・磐田U-18に競り勝った。 岡山学芸館は今季のプリンスリーグ中国で開幕から17戦連続無敗を記録するなど優勝。メンバーを大きく入れ替えた最終節で初黒星を喫したものの、堂々の結果を残している。プレーオフ初戦の先発はGKが福地煌矢(3年)、DF道満智哉(3年)、江口陽向(2年)、平尾駿成(2年)、吉岡大和(1年)、MF池上大慈(3年)、岡野錠司主将(3年)、青川凌大(2年)、万代大和(2年)、堀口友聖(2年)、FW太田修次郎(3年)の11人だった。 一方、2年ぶりのプレミアリーグ復帰を狙う磐田は、GK飯田恵然(3年)、DF小澤有悟(2年、U-17日本代表)、主将の渥美慶大(3年)、後藤翔吾(3年)、甲斐佑蒼(2年)、MF森力介(3年)、寺田阿輝彦(3年)、トップチーム昇格の川合徳孟(3年、U-17日本代表)、石塚蓮歩(2年)、高澤海志(2年)、FW山本将太(3年)が先発した。 立ち上がり、磐田が押し込んだ。開始直後に石塚の折り返しから高澤がチャンスを迎えるが、これを本来のボランチでなくCB起用された岡山学芸館の1年生DF吉岡がブロック。磐田はその後もトップ下の注目MF川合が崩しに係わり、左SB後藤が推進力を持って攻め上がっていく。そしてシュートチャンスを作り出したが、ここで先手を取ることができなかった。 森の仕掛けや右SB小澤のクロス、またテンポの良いパスワークから川合がPAへ抜け出すなど波状攻撃を繰り出したものの、岡山学芸館は右SB平尾らが相手に激しく身体をぶつけていたほか、ゴール前で相手よりも先にボールに触り、堀口が相手シュートを足に当てるシーンもあった。 逆に183cmの10番FW太田が浮き球を良く収めて攻撃の起点に。これに攻守で迫力のある動きを見せる池上や、キレのある動きに注目の万代が係わる形で相手を押し返していく。前半22分には太田のシュートのこぼれを拾った池上がPA深く切れ込んで右足シュート。また、岡野、青川のダブルボランチがセカンドボールを回収する回数を増やしていた。 だが、磐田は28分、山本の突破から高澤の落としを受けた川合がターンしながらの右足シュート。コンビネーションや個の突破で相手のラインブレイクを狙い続けると37分に先制点を挙げた。川合の左CKはクリアされたが、PA外側でセカンドボールを拾った後藤がマークを外して右足ミドル。これをゴール左上へ突き刺し、リードを奪った。 岡山学芸館はその2分後に堀口を183cm、83kgの大型FW香西健心(3年)へスイッチ。前線のターゲットとなっていた太田に香西を加え、投入直後から前線で競り合うシーンを増やしていく。そして、セカンドボールを拾って攻撃に結びつける岡山学芸館は42、43分と万代がチャンスを迎える。相手GK飯田の好守に阻まれたものの、後半も香西、太田を筆頭とした迫力のある攻守。特に岡山学芸館がこだわったのが、「接近」することだった。 高原監督は「やっぱり(磐田U-18の)技術が高いっていうのはもう分かってたんで、とにかく余裕持たせると好き放題されるっていうところで、とにかくもうみんなで『接近』してっていうところを意識しながら、もう1人が2人分、フィールド内が20人になるぐらいの活動量を持っていこうと」と説明。磐田は川合をはじめ、森、寺田のダブルボランチなど技術力の高い選手が揃っている。だが、活動量の多い岡山学芸館は2人で挟み込み、3人で囲い込むなど相手の良さを出させない。特に後半は川合からボールを刈り取るシーンも多かった。 また、個人としても1年生CB吉岡が健闘。コンビを組むCB江口のサポートを受けながら対応力を発揮し、川合、山本と代表クラスのアタッカーを擁する磐田U-18の攻撃を良く封じていた。その岡山学芸館は後半14分に平尾を右SB岸昂希(2年)へ交代。強力2トップ頼みに鳴りすぎるのではなく、SHも内側のスペースで攻撃に係わってボールを動かすなど、狙いとした攻撃を続ける。そして25分、岡山学芸館は道満が低い位置からのパス交換で左サイドを攻略し、相手PAまで攻め上がる。最後は折り返しを受けた香西が右足シュート。これをゴールへねじ込み、同点に追いついた。 磐田は27分に高澤と189cmFW岡田幸成(3年)が交代。だが、続くチャンスを作ったのも岡山学芸館の方だった。32分、右中間で前を向いた太田がドリブルで前進し、香西を経由して万代がPAへ抜け出す。だが、決定的な左足シュートは磐田GK飯田がストップ。磐田は相手のロングボールを甲斐と渥美が跳ね返し、小澤や後藤が際の強さを見せる。37分にMF河合優希(3年)と左SB森島皐雅(2年)を投入。勝ち越し点を奪えなかったが、相手にも2点目を許さない。 岡山学芸館は延長戦前半開始から青川とMF東海祐也(3年)を交代。磐田は5分に岡田が抜け出すも岡山学芸館CB吉岡が身体を張ってシュートを打たせない。磐田は延長後半2分に森をFW持永藍雅(2年)と入れ替えたが、延長戦のシュートは河合の1本に終わった。一方の岡山学芸館は延長後半7分に再び道満がパス交換でDFのマークを剥がしながら攻め上がり、最後は東海の左クロスに万代が走り込む。だが、スライディングシュートを枠に撃ち込むことができず、決着はPK戦に委ねられた。 PK戦は互いに2人ずつが成功して迎えた3人目、先攻・岡山学芸館の万代が成功。その直後、GK福地が相手3人目FW山本のシュートを左へ跳んでストップする。岡山学芸館は3人のGKが先発争い中。福地は選手権予選決勝(11月2日)でベンチ外だった。だが、高原監督が「1番反応と、キーパーらしさがあるのは福地で、彼の今までの悔しい思いなんかもありつつ今日ちょっと先発で起用したんですけど、本当にPKもしっかりと1本セーブしてくれた」と称えるパフォーマンス。この後、岡山学芸館の岸が決めたのに対し、磐田DF後藤の左足シュートが枠を外れて決着がついた。 勝った岡山学芸館は、8日の2回戦でプリンスリーグ九州1部優勝の福岡U-18と対戦。香西は「強いって聞いたジュビロさんにも、自分たちがもう全員でハードワークして、全員で守って、全員で守備して、失点してもブレることなくできたんで、まずは次の試合は先制点を自分たちが取って、自分たちの形の試合に持っていけたらなと思ってます。後輩のためにプレミア上げたいと思います」と誓った。岡山学芸館は近年、台頭を続け、2022年度選手権で初優勝。だが、プレミアリーグでの戦いを経験したことはない。今回は“自分たちらしく”戦い、プレーオフ初勝利。全員でもう1つ白星を勝ち取り、自分たちのステージを上げる。