伝統の名前を受け継ぐ、スポーティネイキッドインパルス400
ライバルネイキッドに真っ向勝負をかけた、3代目・4代目インパルス
三度インパルスのに名前がラインナップに復活したのは、1994年のことだった。1989年にカワサキ ゼファーのヒットが引き金となったネイキッドバイクブームを、スズキは同年に発売したバンディット400、1992年に発売したGSX400Sカタナで戦っていた。1992年にホンダからCB400SFが発売され、丸ライトのレジェンドバイクスタイルがブームの主役となった。そこにスズキが投入したのが、GS1000のデザインを踏襲した3代目のインパルス「GSX400 インパルス」だった。 この3代目のインパルスはボア×ストローク52×47mmと、同世代のGSX-R400Rなどと比べるとロングストローク設定の新開発の水冷4サイクル直列4気筒DOHC 4バルブエンジンを搭載。4into1マフラーや大容量エアクリーナーボックスを組み合わせ、低・中速での力強さと高回転での伸びの良さを両立していた。スタンダードモデルは単色のみの設定だったが、追加でラインナップされた「GSX400 インパルス typeS」はいわゆる「クーリーレプリカ」仕様で、ホワイト×ブルーのカラーリングに大きめのビキニカウルを備えていた。「クーリーレプリカ」という表現を使ったが、実際には「GS1000S」であり、このバイクでウエス・クーリーがAMAスーパーバイクをヨシムラと共に戦い、デイトナで勝利するなど大活躍したため後に「クーリーレプリカ」と呼ばれるようになっている。1996年にはブラック×レッドのヨシムラカラーが発売されるなど、スズキのレースレジェンドにちなんだ仕様で人気を博した。1999年モデルではフロントにブレンボ製の4ポットキャリパーを採用し、ヘッドライトがマルチリフレクター化されるなどの大幅なマイナーチェンジが行なわれた。
排出ガス規制によって1999年モデルで一旦生産中止となった3代目インパルスだが、2004年に排出ガス規制に対応した新型が登場した。4代目となるこの新型は、基本的なデザインは踏襲しているが、デザインやマフラーの形状など各部が大きく変更されている。ビキニカウル付きモデルはラインナップされなかったが、単色以外にホワイト×ブルーのカラーリングを採用。このモデルは途中で「GSX400 インパルス」から「インパルス400」へと呼称が変更されており、撮影車は2007年モデルなので「インパルス400」となる。最終年式となる2008年モデルには、初代インパルスをイメージしたブラック×レッド+ゴールドホイールの「インパルス400 Special Edition」がラインナップされた。 3代目・4代目のインパルスのモチーフとなったGS1000は、現在も続くスズキとヨシムラの出発点となったバイクであり、スズキを代表するレジェンドバイクと言える。そのイメージを引き継ぎ、ネイキッドブームを戦い抜いたインパルスは、現代においてもスタンダードバイクとして愛され続けている。
インパルス400主要諸元(2007)
・全長×全幅×全高:2080×745×1105mm ・ホイールベース:1435mm ・シート高:760mm ・車重重量:197kg ・エジンン:水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒 399cc ・最高出力:53PS/11000rpm ・最大トルク:3.8㎏m/9500rpm ・燃料タンク容量:16L ・変速機:6段リターン ・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク ・タイヤ:F=110/70-17、R=140/70-17 ・価格:66万450円(当時税込価格)
後藤秀之