伝統の名前を受け継ぐ、スポーティネイキッドインパルス400
インパルス400は、1980年代から続く「インパルス」の名前を受け継いだ現時点では最後のバイクだ。スズキのレジェンドバイクGS1000のイメージを受け継ぎつつ、幅広いライダーの要求に応えたえる性能とキャラクターを持ち、ネイキッドバイクブームを戦い抜いた名車である。 【画像】スズキ・インパルス400のディテールや関連モデルをギャラリーで見る(29枚) 文/Webikeプラス 後藤秀之
スズキとヨシムラのジョイントから生まれた初代インパルス
スズキの二輪車の歴史の中に、「インパルス」という名前は3回登場している。最初にインパルスと名付けられたのは1982年に登場した「インパルスGSX400FS」(※「GSX400FSインパルス」とも呼ばれるが、ここではスズキの社内呼称を使用)だ。 1980年からスズキはヨシムラとのジョイントを正式に開始し、GS1000Rにウエス・クーリーとグレアム・クロスビーを乗せ、「8耐」こと鈴鹿8時間耐久オートバイレースに勝利した。赤と黒のヨシムラカラーは当時のバイクレースブームを象徴するカラーとなり、GSX400F/F IIにこのヨシムラカラーを纏わせ、ヨシムラと共同開発した集合タイプのマフラーを装着した初代インパルスが発売された。最初から集合管が装着されていたこともあり、レースファンのみならず、走り屋やヤンチャ系のライダーにまで幅広くインパルスは受け入れられた。
2代目インパルスは、ハンス・ムートが手がけた超個性的モデル
次にインパルスの名前が与えられたのは、1986年に発売されたGSX-400Xインパルスだ。この2代目インパルスは、GSX1100Sカタナをデザインしたハンス・ムートがデザインを手がけたことで大きな話題になった。「東京タワー」や「六本木」といったキーワードからデザインされたこのバイクは、GSX-R400と同じ水空油冷方式「SATCS」(Suzuki Advanced Three-way Cooling System)を採用したエンジンを、最大の特徴とも言えるスチール製のダブルクレードルフレームに搭載していた。 このフレームはヘッドライトステーが一体になっており、ヘッドライトステー部分にトラスデザインが採用されていた。メインカラーであったブラックにはオレンジ色のフレームとシートが与えられており、ヘッドライトステー部分のトラスデザインと合わさって東京タワーのようであった。デザイナーであるハンス・ムートもこれは意図していたことであり、2代目インパルスは「東京タワー」という愛称で呼ばれることとなる。先進的なデザインとコンセプトで、カタナのようなヒットを狙ったこのGSX-400Xインパルスだったが、残念ながら思ったような売り上げは示せずに2年でカタログ落ちすることとなった。