日置5人殺害 弁護側、一審の「死刑判決」破棄求める 福岡高裁宮崎支部で控訴審第2回公判 判決は25年3月
2018年に日置市で、親族ら男女5人を殺害したとして、殺人などの罪に問われ、一審鹿児島地裁で死刑判決を言い渡された岩倉知広被告(45)の控訴審第2回公判が24日、福岡高裁宮崎支部(平島正道裁判長)であった。弁護側は心神耗弱を理由に一審判決の破棄を求めた。検察側は完全責任能力があったとして控訴棄却を求め、結審した。判決は来年3月13日。 日置5人殺害 犯行時の被告の状態、精神鑑定医2人の意見分かれる 高裁宮崎支部初公判
弁護側は、心神耗弱により自身の行動を制御する能力が著しく低下していたと主張。5人の殺害は統合失調症による妄想の影響で、意思をコントロールできなかったと訴えた。死体遺棄については、精神障害の影響を排除した一審判決を誤りだと指摘した。 検察側は、一審で妄想性障害と判断した鹿児島大学の赤崎安昭教授と、控訴審で統合失調症と認定した東京科学大学の安藤久美子氏の鑑定結果を基に、妄想が各犯行に与えた影響について言及。完全責任能力は認められると立証し、一審判決は正当だとした。 一審鹿児島地裁は「妄想に指示、支配されるような状況にはなかった。もともとあった衝動的、攻撃的、自己本位的、他罰的な性格が影響している」として完全責任能力を認めている。 同判決によると、岩倉被告は18年3月31日~4月1日、日置市東市来町湯田の祖母=当時(89)=方で小言を言われ、父親=同(68)=と祖母の首を絞めて殺害し、近くの山中に遺棄。同6日には、安否確認に訪れた伯母=同(69)=、その姉の女性=同(72)=、近くに住む男性=同(47)=の首を絞めて殺害した。
南日本新聞 | 鹿児島