ホテルメッツ、宿泊者も気づかぬ「超地道な改善」とは? 快適を極める「引き算」の妙、3つの点から探る
「私たちが快適な客室を表す言葉に、『不足もなく、余分もない空間』があります。お客様満足のためには、足りなくても、多すぎてもいけない。その発想からアメニティステーションが生まれました」と堀田氏。 このスタイルは結果として、清掃スタッフがアメニティを補充したり、持ち歩かなければならない手間が減り、清掃時間の削減にもつながっている。さらにエコにも貢献する。まさに三方良し、ウィンウィンの好循環を生んでいるのだ。
■自動チェックインも導入済み、その想いとは? 他方、サービス面ではコロナ禍から、スタッフによるチェックインをなくした。現在、1軒をのぞく24ホテルに自動チェックイン機が配備されており、不明点があれば近くにいるスタッフか、不在時はモニター越しにインフォメーションセンターでリモート対応する。 その導入理由はもちろん省人化、だけではない。「DXを推進することでサービス効率を上げ、人にしかできないサービスに注力することが主目的です。より快適な時間を提供する仕組み作りの一環なんです」(斎藤氏)。
快適に必要と判断して「なくさない」ものもある。客室に設置するミネラルウォーターや、ロビーに設置する無料のコーヒーマシンだ。 この「なくす」「なくさない」の選択基準になっているのは、クチコミやアンケートの声。一つひとつを精査し、声が多いものは、まず1ホテルで実験的に減らしたり増やしたりして様子を確認する。そして好評であれば、チェーン全体に展開している。 ■ 街の記憶を宿すデザイン 2つ目の改善は、客室デザインだ。
近年、インバウンドの増加で客室単価が上がっていることもあり、室内をラグジュアリーなデザインに改装するビジネスホテルも多い。だがホテルメッツの客室が目指すのはあくまでも快適性だ。表面的な華やかさではない。そんな思いから生まれたのが、明るくナチュラルで、地域に特化したテーマに沿ったインテリアデザインである。 たとえば、『JR東日本ホテルメッツ五反田』は昔田畑が広がっていた地域のため、テーマは「田んぼ」。外観やロビー、客室の至るところに、田んぼをイメージしたスクエア枠が取り入れられている。