”148時間を超える時間外労働”と”パワハラ” 24歳の男性は教師になって半年で自殺した 母「原因究明と謝罪を」
■長時間労働 148時間の月も 地公災基金によると男性の時間外労働は、「5月の連休明けから2か月連続で月120時間以上」に及び、自殺する前の1か月も、過労死ラインとされる80時間を超えていた。 地公災基金は、男性が「長時間に及ぶ時間外勤務により、相当強い精神的または肉体的負荷を受けていた」と認定した。 ■皆の前での叱責され「涙を流して謝罪」 長時間労働に加えて、地公災基金が認定したのは、男性が指導担当の教諭から「長時間にわたり、高圧的ともとれる厳しい叱責、指導を繰り返し受けていた」ことだ。 さらに、自殺した当日についても「自死当日の長時間に及ぶ閉鎖的な環境下での叱責を契機として急性的なストレス反応を起こし、自死に至ったものと考えられる」と認定した。 訴状などによると、午後6時25分から約2時間、男性と複数の教諭による話し合いが行われた。 この中で男性は、指導担当の教諭から宿題の出し方などをめぐり皆の前で叱責された。そしてほか2人の教諭もそれに同調した。男性は謝罪させられ、立ったまま泣いていた。 話し合いの後も、別室で泣いていたという。 そして午後10時頃、学校内で自殺しているのを発見された。 ■「まるで無関係であるかのようなそぶり 裁判するしかなかった」 労災にあたる公務上災害が認められたあと、遺族は2022年、春日市と福岡県に謝罪や調査、指導担当教諭らの懲戒処分などを求める内容証明郵便を送付したが、納得のいく回答を得られず、今年6月に提訴した。 男性の遺族の代理人 光永享央 弁護士 「春日市は、責任の有無すら回答していない。福岡県は一切、回答なし。まるで無関係であるかのようなそぶりだ。誠実な対応ではない。だから裁判をするしかなかった。」 ■男性の母が意見陳述 「息子が子供の頃から憧れていた職業だった」 8月27日に福岡地裁で行われた初弁論。男性の母親が証言台に立った。 母親の意見陳述: 「息子が子どもの頃から憧れていた職業が小学校の先生でした。 元々人見知りの性格で人前に出るのが苦手で、 勉強もそこまで得意ではありませ んでした。 そんな子が小学校の先生になると言い出したときは驚きましたが、 目標ができて良かったと思っていました」 高校生の時には自身のアルバイト代でピアノ教室に通っていた息子の姿を見て、母親は「何が何でも先生になる」という息子の強い気持ちを感じていた。 母親の意見陳述: 「教員試験に合格した時は、子どものように喜んで 満面の笑顔で嬉しそうにしていたその顔を生涯忘れることはありません。 やっと夢がかなってこれからどんな先生になっていくのか、 大人としてどのように成長いくのか見るのを楽しみにしていました。」