「アライ」って何? 役割は? 「LGBTQ」をはじめとした性の多様性を理解し行動するために必要な視点
活動する中で強く感じる「アライ」の重要性
――現在、松岡さんは一般社団法人fairの代表を務めていますよね。どのような経緯から立ち上げることになったのでしょうか? 松岡:きっかけは大学時代、「LGBTQ」に関する活動に関わりはじめる中で抱いた違和感でした。 私自身は、自分がゲイであることを家族や友人たちにカミングアウトした際、比較的スムーズに受け入れられたのですが、当事者の友人のほとんどが、周囲にカミングアウトをしていない状況でした。 なかには「死にたい」と思ったことがある人や、カミングアウトをして家から追い出された人もいました。そういった話を聞く中で「なぜ、このような問題が起きるのか。当事者のせいではなく、社会の側に壁があるからではないか」と強く思うようになりました。 ――生きづらさ解消に向けて立ち上げられたfairでは、具体的にどのような活動をしているのでしょうか? 松岡:どんな性別の方でも公平に生きられる社会を目指すためには、やはりセーフティネットとなる法整備が必要だろうと考え、性的マイノリティに関する情報を発信しています。 当事者がどのような困難に直面していて、背景にどんな法制度の問題があるのか。どうすれば、生きづらさが改善されるのか。そういった情報を世に発信できれば、法整備に関する動きを後押しできると思っています。 他にも企業や学校、自治体等で性の多様性に関する講演や研修、最近では「LGBTQ」に関するメディアコンテンツや企業発信などに監修として関わらせていただくこともあります。 ――企業や学校での講演や研修は、幅広い世代の性的マイノリティの理解促進につながりそうです。 松岡:そうですね。企業や学校における制度を整えたり、適切な認識を1人でも多くの方に広げていったりするためには、キーパーソンとして「アライ」の協力が不可欠です。 なかには熱量がとても高い「アライ」の方もいて、少しでも多様な人たちが生きやすい学校、職場をつくりたいという思いを持ち、この課題を自分事化して積極的に行動している方も少なくありません。そういう方々と接するたびに、「アライ」の存在の重要性を実感しますし、もっと増やしていきたいと思います。