調査でわかった「クラスで人気者の子」の親に共通する接し方
親のしつけが、子どもの将来の健康にまで影響する
親というものは、子どもの将来に対して責任を持たなければなりません。「親はなくとも子は育つ」ということわざもありますが、それはウソです。親のしつけというものは、子どもにものすごく大きな影響を及ぼします。 子どもが生まれたら、どうやって親として接すればよいのかという問題は、非常に、非常に、もうこれ以上ないというくらい非常に大切なのです。 米国アリゾナ大学のラセック・リンダは、1950年代にハーバード大学に入学した男子学生に、「あなたのご両親は、どのような養育態度であなたのことを育ててくださいましたか?」ということを思い出してもらいました。 それから35年後、大学を卒業した彼らがどれくらい心の病気にかかっているのかを調べてみたのです。すると、大学入学時点で、自分の両親が「愛情深く」「正しく」「公平に」「勤勉に」「強く」「知的に」育ててくれた、と回想していた学生は、35年後に25%しか高血圧、心疾患、胃潰瘍、アルコール中毒などになっていませんでした。とても健康的だといえます。 子どもの頃、親がそのような態度で育ててはくれなかったという学生は、35年後には、87%が何らかの病気になっていることがわかりました。 親の子育ては、将来の子どもが健やかな人生を歩めるかどうかに大きく関係していたのです。 親としては、自分の子どもが健やかな心を持った大人になってほしいと願うのは当然です。 だとしたら、ぜひ自分の子どもには、愛情をもって、正しく、勤勉に育ってくれるように促しましょう。 考えてみると、昔の日本人のお母さんたちは、みなそうやって子どもを育ててきました。 「悪いことをしてはいけません!」「一人でも生きていける強さを持ちなさい!」「勉強をサボってはいけません、お天道様が見てるからね!」などと厳しく育てたものです。もちろん、愛情を持ってのことです。 ところが、最近の親御さんたちは、子どもを溺愛はするのですが、甘やかして育ててしまうところがあります。子どもを愛するのと、甘やかすのは別次元の問題です。甘やかすだけでは、子どもは心の強さを持つことはできません。 イヤなことでも頑張って取り組む粘り強さや、心の強さについても、親として子どもにしつけるようにしましょう。そのほうが、子どもも大人になってから、親に感謝してくれるはずです。
内藤誼人(心理学者、立正大学客員教授)