腹話術士の元教育長にボランティア賞 小学校長をしながら習って25年、公演330回 相棒ゴン太と社会貢献「500回目指す」
沖縄県宜野湾市の元教育長で腹話術士の宮城義昇(よしのり)さん(85)が6日、ソロプチミスト日本財団の社会ボランティア賞を受賞した。福岡市で開かれた授与式で宮城さんは「栄えある賞を頂き光栄。すべて相棒のゴン太や妻慶子のおかげ。これからも腹話術を通して地域の高齢者や子どもたちに命の大切さや交通安全を訴えていきたい」と抱負を語った。 (翁長良勝通信員) 【写真】人形の「ゴン太」と共演する宮城義昇さんと妻の慶子さん 本年度の社会ボランティア賞を受賞したのは国内で26人、県内からは宮城さん1人だった。 宮城さんが活動を始めたのは普天間第二小学校の校長に赴任した1999年。腹話術を通して、小学生や幼稚園児に交通安全や命の大切さ、昔話などを伝え、コミュニケーションを図る狙いがあったという。 勤務後、連日那覇市に通い、プロの腹話術士から手ほどきを受けた。さらに自身で技術の習得に励んだ。 評判が評判を呼び、県内各地の小学校や幼稚園、地域の公民館で行われるミニデイサービスなどから依頼が殺到。ことし11月までの公演回数は330回に上る。公演は全てボランティア。活動できなかったコロナ禍の間はもっぱらシナリオ書きに精を出したという。 腹話術は子どもたち向けには主に交通安全をテーマにし、ミニデイサービスでは川柳や日本の歴史などを取り入れている。元幼稚園教諭の妻慶子さん(83)も一緒に読み聞かせで命の大切さを説いている。 授賞式には慶子さん、長女の島袋智子さん(55)も出席し、受賞を喜んだ。受賞後のプレゼンテーションでは事前に録画した映像が大スクリーンに流れた。宮城さんとゴン太の「私ゴン太は高所恐怖症だから飛行機には乗りません。だから来ませんでした」などの掛け合いに会場は大きな笑いに包まれた。 宮城さんは「500回の公演を目指している。健康に留意して日々頑張っていきたい」と力強く語った。 宮城さんはこれまで、沖縄タイムス教育賞、宜野湾市制功労教育者、文部科学大臣表彰、交通栄誉章緑十字銅章などを受けている。