PTAは不要、「解散決断」後に意外なところが反対 保護者ボランティア組織のあり方と運営のコツ
PTAを解散し、保護者ボランティア組織へ
2024年4月。新年度を迎え、石曾根氏は「明善小PTA会長」から「明善小学校保護者ボランティア代表」と肩書きが変わった。新学期に下記の通知を全保護者に配布し、PTA解散を周知した。 「保護者ボランティア組織として、何か新しい名称を考えようという意見も出ました。しかし、名前を付けることで、PTAのように組織的な意味合いを持ち、揺り戻しのリスクもあると考え、あえて名前は付けないことにしました。今後『名前を付けたほうがいい』という意見が再度出始めたら、その時に検討しようと思います」 現在、保護者ボランティア組織の中心メンバーは、代表の石曾根氏以下、副代表は校長を含む4名の保護者。 当然のことながら、会費もないし規約も総会もない。2024年度は、都度参加者を募って ・ ベルマーク集計 ・ 体操着リサイクル ・ 運動会前の校庭整備や地下道清掃 を行うのに加え、通年を通して草刈り、草むしり、落ち葉拾いなどを行う予定だという。 ボランティア運営の原資は、これまでPTAで行ってきたアルミ缶回収による売上金を当てる。 解散を決めた時点で、余っていたPTA会費は約120万円。保護者に同意をとったうえで学校と話し合い、体育館の緞帳、ジェットヒーター、移動式スポットクーラーを購入する予定だという。 「PTA解散までの道のりは、決して簡単なものではありませんでした。しかし、時代の変化に対応した組織づくりを実現するためには、必要不可欠な決断だったと考えています。現に、教員不足という課題を抱え、働き方改革を進める学校も、PTAの解散により教職員の負担が減る面もあり、この決断を快く受け入れてくれました」
PTA解散の「メリット」と「デメリット」
石曾根氏に、現時点で感じるPTA解散のメリットとデメリットについて聞いた。 「保護者から『家計が苦しく、PTA会費を支払わずにすむようになってありがたい』『PTA活動のために仕事を休まなければならなかったけれど、自分の都合で参加不参加が決められるため負担感がかなり減った』などの声が聞こえてきます。PTA解散によって、保護者の経済的、精神的負担が軽くなったのはメリットといえると思います。 また、『子育て、家事、仕事を最優先していただきながらできるときにできることを行ってください』と呼びかけつつ、7月の授業参観日の学級懇談会後にベルマーク集計作業の協力を募ったところ、各クラス約半数の保護者が残って作業してくれました。今のところ、困っていることはありません」 石曾根氏は続ける。 「一方で、デメリットとして感じるのは、保護者間の交流が少なくなったことでしょうか。また、松本市P連を退会して他校のPTAとの交流が少なくなり、地域の学校やPTAの情報が入りにくくなったこともあげられます。ただ、松本市P連については、昨年度まで加入していてある程度のネットワークができています。必要な情報はこちらからとりにいけば得られるため、特断の不便はあまり感じていません」 解散して1年目の今は、「ゆっくりと歩みながら、今後をふまえいろいろなことを模索している状態です」という石曾根氏。