3モーター/829psのオープンGT マセラティ・グランカブリオ・フォルゴーレへ試乗 早朝のイタリアが極上体験
駆動用バッテリーをTの字に搭載 航続447km
電動のオープン・スポーツは、テスラ・ロードスターが先行するだろうと予想していた。ところが、それを待っている間に、MGサイバースターの販売がスタート。マセラティからも、グランカブリオ・フォルゴーレが発表された。 【写真】早朝のイタリアが極上体験 マセラティ・グランカブリオ・フォルゴーレ オープンEVは他にも! (112枚) このグランカブリオのサイズは、サイバースターよりひと回り大きい。ラグジュアリーな雰囲気を漂わせ、大人4名が座れるキャビンも備わる。グラントゥーリズモ・フォルゴーレの、カブリオレ版だ。 マセラティによると、この2台は完全なゼロから設計されたという。アルファ・ロメオのジョルジオ・プラットフォームとは、まったく構造が異なるそうだ。 技術者は、当初からクーペとコンバーチブルを想定。内燃エンジンと電気モーターの両方へ対応することも、前提だった。 新プラットフォームで特徴となるのが、近年のバッテリーEVでは一般的な、スケートボード構造ではないこと。容量83.0kWhの駆動用バッテリーは、フロア部分に敷き詰められているのではなく、上から見てTの形に積まれている。 3基の駆動用モーターなども、内燃エンジン版のドライブトレインや燃料タンクが載る位置へ、巧みに収まっている。一方で航続距離は418-447kmと、近年のモデルとしては短め。バッテリーEVへ最適化されていないことが、理由の1つかもしれない。 それでも、電動システムは電圧800Vで制御され、急速充電能力は270kWと高速。最短18分で、残量20%から80%へ回復できる。アップデート後の、ポルシェ・タイカン級の性能ではないけれど。
キャビンはしっかり4シーター 荷室は狭い
インテリア・デザイナーは、かなり頑張ったと思う。斬新で風合いの良い選択肢が、複数用意されている。マセラティらしく柔らかい本皮も選べるし、不要になった漁業用の網を再生した、ナイロン・エコニール素材も選べる。カラーバリエーションも豊富だ。 キャビンは、しっかり4シーター。身長180cmの大人がリアシートで快適に感じることはないかもしれないが、ポルシェ911 カブリオレやフェラーリ・ローマ・スパイダーより遥かに広い。 そのかわり、荷室は狭い。ソフトトップを閉めた状態でも151L。開くと114Lになってしまう。 駆動用バッテリーがフロア部分にないため、運転姿勢はかなり低い。ポルシェ・タイカンのような、高めの目線は免れている。 インテリアを観察すると、フィアット500eの部品が流用されていることに気づく。特に、プラスチック製のシフトセレクター・ボタンは、価格相応のアイテムへ置換するべきだと思う。 ステアリングホイールの裏側には、巨大な金属製パドルがある。これは、半分の大きさでも良いかも。フォルゴーレでは回生ブレーキの切り替え用で、内燃エンジン仕様ほど頻繁に触れることはない。ちなみに、ワンペダルドライブはできない。