菅直人元首相「福島原発事故で日本は壊滅状態と紙一重だった」一連の批判について語る
THE PAGEは30日夜、菅直人元首相を招き、「吉田調書、メディア、原発」をテーマにトーク番組をライブ配信した。その中で、菅氏は福島第一原発事故に関して「日本は壊滅状態と紙一重だった。それほど大変な事故だった」と述べ、原発を継続するのか、別の手段を考えるのかと訴えた。 【アーカイブ動画】菅直人に生で聞く 吉田調書、メディア、原発 聞き手はジャーナリストの武田徹氏。東日本大震災当時の首相だった菅氏は、福島第一原発事故をめぐる一連の対応などをめぐって批判にさらされた。そうした批判や、吉田調書をめぐる報道、メディアについて、菅氏が語った。
■吉田調書、メディア、原発
朝日新聞の誤報問題などを受け公開されることになった「吉田調書」。菅氏は「吉田さんの調書はこの事故の解明や将来に向けて非常に重要な調書。公開されてよかった」と公開を評価した。ただ、吉田調書をめぐる報道には疑問も感じたという。 「私が非常に強く感じたのは、吉田調書で最も重要なところのメディアの重要視の仕方が足らない。吉田さんは『東日本が壊滅する』危機状態にあると話された。当時私も福島第一、第二合わせて10基の原発と11の使用済み核燃料プールが制御できなくなったらチェルノブイリの何十倍という放射性物質が出て、まさに東日本が壊滅する、そのぎりぎりだったという実感がある。(吉田さんの)その言葉の意味を受け止めていく必要がある」 一方で、朝日新聞の吉田調書報道は当初はスクープ記事だった。朝日新聞に情報が流れたということになるが、これに関連して菅氏は次のように否定した。 「週刊誌的な報道では、私が流したんじゃないかと一種のイメージ操作をする。中には『菅さんが朝日に書けと言った』と真顔で言う人がいる。私は政府事故調をつくることをお願いした立場だが、いっさい誰を聴取したとか、調書を見せろとか総理時代に言ったことはない。持ってもいないしコピーもないので私からどうこうすることはない」 また、福島第一原発事故がいかに大変な事故であったかを重ねて語った。 「あの事故がどれだけ大きな事故であったか。250キロ圏の5000万の人が何十年間もその地域から避難しなくてはいけないことになっていたら、日本という国は長い間、壊滅的な状況が続いたと思う。本当にそうならなくて良かった。もちろん現場の東電や自衛隊、警察や消防の皆さんが頑張ったが、実はいくつかの幸運な偶然があった。本当に紙一重だった。次に起きたときに神のご加護があるか分からない。それでも原発を続けるのか、他の手段に変えていくのか、そこにつなげていってもらいたい」