「静かにしないと、店員さんに怒られるよ!」“おりこうさん脳”を育てたいなら、親がやってはいけない叱り方
子どもが周囲に迷惑をかけてしまった時…あなたならどうしますか?
ネットやSNSが発達している現代社会は、子育てするにあたって様々な情報を簡単に得られるという点ではとてもありがたい時代になったと思います。 【マンガで読む】子どもがお風呂を汚しても叱らない母親…そこに隠されていた“大きな学び”とは? しかし、調べているうちに、子育てにおいて、何が正解なのかが分からなくなってしまっていませんか? 自分の子どものためだと思って、色々と実践してみたけれど、いまいち結果に結びつかない…。 もしかして、良かれと思ってやっていたことが、子どもの脳を育てるためには逆効果だったなんて事があるかもしれません。 そんな“子育てにおける誤解”を小児脳科学者である成田奈緒子先生が詳しく解説した著書『誤解だらけの子育て』をご紹介します。 今回は「周囲に迷惑をかけたら、親がきつく叱るべき」というトピックをご紹介。 子どもが公共の場で迷惑をかけてしまった時、必要以上に叱ってしまっていませんか? でも、それは本当に子どもの為なのでしょうか? そんな親の姿を見た子どもは間違った学習をしてしまうかもしれません。その理由とは?
【誤解!?】周囲に迷惑をかけたら、親がきつく叱るべき
電車の車内やショッピングセンターなどの公共の場で、騒いだり走り回ったり、駄々をこねたりする子どもに対し、親御さんがきつく叱っているのは、よくある光景です。 なかには、ちょっと行きすぎではないかと思うほど、感情的に叱りつけている様子を見かけることもあります。その姿勢には、「周囲に迷惑だから」というよりも「躾のなっていない親だと思われたくない」という、親側の周囲へのアピールも多分に含まれているように見受けられます。 しかし、子どもにはやたらときつく叱る一方で、周囲の人には「ごめんなさい」の一言もなく、会釈することもせず、そそくさとその場を立ち去る人が多いのです。 また「静かにしないと、あの店員さんに怒られるよ!」などと、親の自分ではなく、周囲のせいにした言い方で注意をする親御さんもいます。 こうした大人の姿からは「あなたが周囲に迷惑をかけると、私がダメな親だと思われる。だから、あなたを叱るのである」というメッセージが伝わってしまいます。「お店の人のせい」にする口ぶりからは、子どもは「怒る理由を他人のせいにしてもよい」という間違った学習をし、何かにつけて言い訳をする人間に育ってしまうのです。 5歳までの子どもは「原始人」なので、たとえ周囲に迷惑をかけてしまうことがあっても、本人を叱ることに意味はありません。「公共の場で騒いじゃいけないことくらい、言わなくてもわかるよね?」と無言の圧力をかける大人も多いのですが、子どもの「おりこうさんの脳」を育てるには、言語を用いた誤解のないコミュニケーションを取る必要があります。 「ここでは走ってはいけないよ。なぜなら、ほかの人にぶつかって、怪我をさせてしまうことがあるからね」というように、伝えたいこと→その理由の順に、丁寧に伝えることがポイントです。 一方で周囲に対しては、原始人なので仕方がないことだとは思いつつも親自身は脳が育った人間ですから、当然迷惑をかけたら「ごめんなさい」と言葉で伝えます。その姿を見せることが、子どもの脳育てにとって大切なことになります。 子どもが小学校に上がってからは、学校で友だちとトラブルになったり、宿題をサボったりして、先生から電話がかかってくることがあります。これがまた、親御さんの頭痛のタネになっていきます。特にプライドの高い親御さんは、子どものことで受けた注意を、まるで自分自身が指摘されたかのように感じ、動揺します。そして「あんたのせいで、お母さんが先生に怒られたじゃない!」という叱り方をしてしまうのです。これでは、もっとも重要なのは親自身の自尊心である、と言っているのも同然です。