ドコモとモトローラが18年ぶりにタッグを組んだワケ シェア急拡大で2025年度は“2倍成長”を狙う
モトローラ・モビリティ・ジャパンは、同社初となるドコモ向けのAndroidスマートフォン「motorola razr 50d」を発表した。同モデルは、9月に発売されたフォルダブルスマホ「motorola razr 50」をベースにしながら、ハードウェアとソフトウェアの両面にドコモ向けのカスタマイズを施した1台。ドコモからモトローラブランドの端末が発売されるのは、iモード端末の「M702iS」以来、実に18年ぶりのことになる。 【画像】1台ずつ異なる模様 ここ数年、ソフトバンクでの取り扱いが拡大し、急成長を遂げていたモトローラ。2024年度も、前年と同じ成長率である2倍程度の規模拡大を目指すことを明かしていたが、その“秘策”がドコモでの端末発売だったというわけだ。一方で、ドコモにとってもrazrシリーズの取り扱いは、端末ラインアップが拡大するメリットがある。ここでは、そんなドコモとモトローラ双方の狙いを読み解いていきたい。
razr 50をベースにドコモ仕様を盛り込んだ1台、ハードもソフトも“オンリーワン”
端末名に「d」がつくことからも分かるように、razr 50dは、ドコモ向けに全面的なカスタマイズを施したrazr 50だ。そのカスタマイズはソフトウェアにとどまらず、ハードウェアや個装箱にも及ぶ。ソフトウェアは、一般的なドコモ向けのAndroidスマホと同様だ。ホームアプリに「docomo LIVE UX」を採用しており、設定メニューにもドコモのサービスやクラウドへの導線が設けられている。「d払い」や「my daiz」といった主要アプリもプリインストールした。 また、razr 50シリーズに固有の機能である電源キーのダブルクリックには初期設定でd払いが割り当てられており、ロック解除してあれば、すぐに同アプリを呼び出すことができる。razr 50dは、閉じたときに情報を表示できるアウトディスプレイが3.6型と大きく、本体を開かずとも、d払いの決済に必要なQRコード/バーコードを十分なサイズで表示可能。折りたたみのギミックを生かし、コンパクトな状態のまま支払いを済ませることができるというわけだ。 とはいえ、この程度のカスタマイズであれば、他の端末で採用されていることもある。razr 50dがすごいのは、ハードウェアもドコモ向けに作り込まれていることだ。1つ目は、本体素材の違いだ。通常のrazr 50やソフトバンク向けの「motorola razr 50s」は、背面がレザー調になっており、ザラっとした手触りを楽しめる。これに対し、razr 50sには天然繊維素材のアセテートが採用されており、サラッとした質感に仕上げられている。 アセテートとは、木材パルプを主な原料とした繊維素材のこと。半合成繊維の一種で、植物由来のため、環境に優しいとされている。素材の特性上、大理石のような模様がつくが、その形状は1台ごとに異なったものとして出る。スマホのような工業製品では、全数のデザイン処理が均一になるのが一般的。この点は、どちらかといえば天然素材に近く、環境への配慮と同時に、“オンリーワン”の1台を持てる特別感の演出にも貢献している。 ドコモから発売されるため、ある意味当然ではあるが、5Gの対応バンドには4.5GHz帯(n79)も含まれている他、4Gは1.5GHz帯(Band 21)にも対応。オープンマーケット版のrazr 50やソフトバンク版のrazr 50sはどちらもこの2つの周波数帯を利用できなかったため、これもドコモ向けの特別仕様といっていいだろう。 機能的には、ベースとなっているrazr 50や50sとほぼ同じで、先に述べたようにアウトディスプレイが3.6型と大型なのが最大の特徴。4型で、ヒンジ付近にギリギリまでアウトディスプレイが広がった「razr 50 ultra」と比べるとやや小ぶりな印象だが、情報を確認するのはもちろん、アプリの操作も十分こなせる。 背面のメインカメラは光学式手ブレ補正対応の6400万画素。折りたたみというギミックを生かし、本体を置いたまま撮影したり、アウトディスプレイを使って自撮りしたりと、通常のスマホより撮影スタイルの幅が広いのも特徴だ。ステレオスピーカー搭載で、「Dolby Atmos」にも対応する。プロセッサはMediaTekの「Dimensity 7300X」を備え、ミッドレンジの上位モデルという位置つけの端末だ。
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