父と兄は開業医、世帯年収2,050万円のコネ持ち・恵まれた30代夫婦…7,000万円のマイホーム購入をやめて、堅実に暮らし続ける「まさかの理由」【FPが解説】
2030年空き家問題とともに始まる中古住宅価格の下落
2030年は団塊の世代(1947年~1949年生まれ)が相続の時を迎える時期です。日本で最も人口ボリュームの大きなこの世代が次世代にバトンタッチすることによって、生まれるのが「空き家」です。 野村総合研究所によると2030年には空き家率が30%になると予想されています。2024年4月30日に総務省が発表した空き家率は13.8%なので、今後急激な増加に向かうことになります。このことにより、住宅は完全な供給過剰に陥り住宅価格が下がっていくという予測されています。 さらに前述したような「ローン破綻層」の家が大量に放出されたら、さらに中古住宅は下落します。これらのことによって、2030年から先の住宅購入者にとって価値観が大きく変わる転換期を迎えるかもしれません。 ここで住宅購入を見送ったある夫婦の価値観の変化を紹介します。
30代、そろそろ家を買おうか…
<事例> 夫Dさん 33歳 会社員 年収1,700万円 妻Eさん 31歳 自営業 年収350万円 子供1人 預貯金3,100万円 DさんとEさんの夫婦は首都圏近郊に住んでいます。夫Dさんは外資系金融機関に勤務しています。妻Eさんは自宅を使って日中にネイルサロンを営む自営業です。 Dさんは年収1,700万円と高所得ですが、半分以上を占めるのがインセンティブ給です。基本給自体は多くはなく、営業成績によって収入が乱高下する仕組みです。妻Eさんのネイルサロンは固定客が多く売り上げは安定していますが、コロナ禍の初期に休業を余儀なくされ、コロナ前の売り上げまで回復できていません。 最近、夫婦で持ち家を買おうかという話題になることが増えました。現在は賃貸マンションに暮らしていますが、決して広くはなく、ネイルサロンと生活空間が同じであることなどから不便を感じています。できることなら、近隣で戸建ての家を買い、サロン用の部屋と専用の玄関を設置したいと考えています。ただし固定客がいる都合であまり遠くに移動はできません。徒歩で5分以内の場所で物件を探したいと思っていますが、駅近であるため、いい物件は7,000万円以上と高く、勇気が出ません。 一方、夫のDさんは自分の給料は長く続かないものと考えています。自分の父親と兄が開業医であり、そのツテを頼って営業活動をし成績を作っています。いわゆるコネ営業であるため、自分の実力とはいえないと冷静に判断しています。いずれ売れなくなるときも来るかもしれず、年収に対してあまり大きな気持ちにはなれません。堅実な考え方の持ち主です。 世帯年収は2,050万円です。不自由がない暮らしができていると自覚していますが、裕福とはいえないというのが夫婦で共通する感覚です。 自分たちにとって適正な住宅予算を知ろうと、FP事務所を訪れました。現状をFPに伝えたところ、FPからは予想外の質問が。