父と兄は開業医、世帯年収2,050万円のコネ持ち・恵まれた30代夫婦…7,000万円のマイホーム購入をやめて、堅実に暮らし続ける「まさかの理由」【FPが解説】
FPが目撃した「自己破産予備軍」の住宅購入
FPとして「買ってはいけない人達」に対峙すると、ひどく無力感を覚えたものです。 ・世帯年収500万円以下 ・貯蓄ゼロ ・ローコスト住宅なら買えると思った ・自動車は残価設定ローンで購入 ・消費者金融からの借入あり ・妻は「扶養の範囲内」にこだわる ・メンテナンス費用などランニングコストは想像できない ・金利の仕組みがわからない ・金銭面の不安を感じていない ・子供は大学進学を前提としているが奨学金は借りさせたくない このような状況のなかではFPとして役に立つことはなく、アドバイスも求められていないというのが現実でした。家を買ってしまうと家計のキャッシュフローはギリギリ。しかし生活の質はいまよりも相当落とさなければなりません。食費を月に3万円で抑え、自動車を手放し、子供にスマホを持たせることもできなくなるのですが、支出の改善など一切しないままローン返済に突入します。 このような家計の状態で今後住宅ローン金利が上昇したらどうなるでしょうか。毎月の返済が1万円上昇することで、もっと苦しくなります。建物のメンテナンスをする貯金はないので劣化が激しくなり、建物の寿命を縮めてしまうでしょう。 この人たちの家計が破綻するのは、金利が上昇をはじめて5年を過ぎたころからです。月に7万5,000円だった返済が9万円となるころから、メンテナンス費用や火災保険、固定資産税などを支払えなくなり、子供の大学資金に窮し、家を手放すことになるかもしれません。自己資金ゼロのフルローンであるため、残債を残してしまうオーバーローン状態となります。 また2006年から2020年の期間において、「非大卒女性の離婚経験率」は「大卒女性の離婚経験率」の2倍~3倍あったとする研究もあります。ペアローンを借りている夫婦が離婚すると、やはり多くは家を失うことに繋がることはご存じの方も多いでしょう。 しかし、皮肉なことにこの状況を迎えたあとはこれから住宅を買おうとする人にはチャンスにもなりえます。