【デーブ大久保コラム】楽天・今江監督の退任に関して? です『石に上にも三年』が日本の育て方だと思います
【デーブ大久保 さあ、話しましょう!】 いやいや感動しました。10月12日の朝、アメリカでは11日ですね。ドジャースの山本由伸とパドレスのダルビッシュ有が投げ合った地区シリーズ第5戦。素晴らしい投手戦でした。最高峰のリーグ、しかもポストシーズンで投げ合うのですから。日本人選手が本格的にメジャーに挑戦し始めてから約30年。伝統がつくられていっています。 【選手データ】今江敏晃 プロフィール・通算成績 その中で、楽天時代に一緒に戦った裕樹(松井裕樹)がいるんですよ! もうブルペンで待機している姿を見ただけで、熱いものがこみ上げてきました。大谷翔平やダルビッシュなどの活躍もあり、ここ最近は日本人選手の気質などがメジャーの選手たちにリスペクトされていると感じます。日本文化をうまくマッチさせた学生時代の部活で重んじられる規律は、もしかしたら世界に誇れるものかもしれないですね。 そういう思いでいるときに、古巣の楽天から衝撃の出来事が。今江(今江敏晃)監督の退任発表です。2年契約の1年目が終わったばかり。今季は4位ながら交流戦優勝を果たしている監督です。これからというときに……全容はまったく分からないですが、成績不振が理由なら理解できないですよ。 これまでも楽天は1年で監督を頻繁に代えてきました。私もその一人です。楽天自体は新しい会社で、斬新な社風を築いています。社用語を英語に統一したりしていますよね。それは素晴らしいことだと思います。 一方でプロ野球界は90年の歴史がある繁栄を続けてきた(一時期やばかったですが……)スポーツ文化の一つです。その中に参入して成功させるために、その文化を無視して、自分たちのやり方だけを続けていると反発を受けることになる。 人を育てる、選手をプロに育て上げることは大変時間のかかることなのです。優秀な人材がすぐに見つかりヘッドハンティングすればいい、というものではないのです。「石の上にも三年」「塵も積もれば山となる」「雨垂れ石を穿つ」ということわざがあります。これは日本人の長い歴史の中で、先人の経験からくる意味深い言葉。人を育てるのはそれくらい時間が掛かる。監督を育てるのも同じだと思います。 そして監督は、どれだけの責任を一人で背負い戦っているか。2年契約の1年で退任させるのは……。どうでしょう一度、監督人事を決定するスーツ組の方が1年間監督を指揮をしてみると、さまざまなことが見えるはずです。 1900年代のアスレチックスの共同オーナーであったコニー・マック監督はスーツを着て指揮を執ったそうです。だからできないことはないかもしれません。楽天の人事に関しては本当の部分は分かりませんが、今回の退任に関しては、総合的に考えても私自身が納得しかねる、そういうネガティブな思いになってしまいました。
週刊ベースボール