首相退任1カ月余、岸田氏なお影響力 旧派閥議員と会合、結束維持
岸田文雄前首相の退任から1カ月余りが過ぎた。9月末の自民党総裁選で石破茂首相の勝利を支えて以来、党内での影響力を保つ。寄って立つのは、自身が会長を11年余り務めた旧岸田派。「同志」である中堅・若手議員と意見交換を重ね、足場を固めている。 【写真】首相退任1カ月余、岸田氏なお影響力 岸田氏は7日夜、東京・赤坂の飲食店にいた。直前までは、衆院選惨敗を受けた自民党の両院議員懇談会に出席。会食では小林史明氏(広島6区)ら旧岸田派の衆院議員たちと、首相時代や自民党が下野した際の苦労話に花を咲かせた。 旧岸田派との夜の会食は選挙後だけでも4回目。6日のテレビ番組では「政策の議論を深めるための関係は大事にしたい」と結束を維持していく意向を示していた。 9月の総裁選決選投票で岸田氏は、旧岸田派議員に石破氏への投票を促した。勝利した石破氏が率いる政府・与党内で、林芳正官房長官や小野寺五典政調会長に加え、元官房副長官で側近の木原誠二氏も次の選対委員長に内定。主要ポストを旧岸田派の面々が占める形となる。 さらに旧岸田派には林氏、前外相の上川陽子氏と総裁候補が2人いる。「総裁カードを持ちながら一定の勢力を持つ旧岸田派は無視できない」との見方が、石破氏周辺にも広がる。 厳しい声もある。両院議員懇談会の非公開の協議では、衆院選大敗を招いた派閥の裏金問題に絡み、前総裁である岸田氏の対応を批判する声も出たという。ある中堅は「悪いのは安倍派だが、岸田さんの対応は後手後手だった」と言い切る。 衆院選で全国を飛び回った岸田氏はマイクを握れば裏金問題を陳謝。「政治の信頼回復に向け、石破総裁の努力をしっかり後押しする」と力説した。 首相時代の終盤に「ブラックボックス」との指摘がやまなかった政策活動費は、石破氏が廃止も視野に党内議論を始めた。党重鎮は「党改革を掲げて総理になったのが岸田さん。最後までやり抜く責任がある」と注文する。
中国新聞社