なぜ大坂なおみは「あなたは最低だ!」のヤジに涙を流したのか…背景に21年前にウィリアムズ姉妹が今大会で受けた悲劇
WTAインサイダーのツイッターによると、一方の勝者のクデルメトバは、大坂が浴びたヤジや涙については触れず「ナオミとは対戦したことがなかったので素晴らしい選手と対戦できたことは凄くいい経験となった。何を改善できるのか、何を改善する必要があるのかがわかった。今日は本当に上手くプレーできたし、これからもこのようにプレーしていきたい」とコメントした。 ロシアがウクライナへの軍事侵攻を行ったことで、ロシア選手は主だった国際大会から除外されているが、テニスでは、国旗、国名などを示さず個人参加としての出場が認められている。 海外メディアは、この大坂のショッキングな涙について大々的に報じた。 BBCは、「元世界1位の大坂がヤジを受けて敗戦に涙」との見出しを取り、ヤジが飛んだ様子や、2001年のウィリアムズ姉妹の悲劇を思い出したという試合後のスピーチを紹介した上で、「大坂の2回戦敗退は、昨年の全米オープンで3回戦敗退し、その後、無期限の休養を続けて復帰して以来、最も早い敗戦となった」と伝えた。 さらに「このときの休養は試合後のメディア対応を望まないと発言して全仏オープンを欠場してから2度目のもの。彼女は2018年の初めてのグランドスラム優勝以来、メンタルヘルスの問題と苦闘してきたことを明かした。24歳(の大坂)は開会式で聖火を点灯させた昨夏の東京五輪で復帰する前にはウィンブルドンを欠場している」と、この1年間、コート外の問題と対峙してきた大坂の苦悩を説明している。 ロサンゼルスタイムズ紙は、「大坂がヤジを受け、ウィリアムズ姉妹が耐え忍んだ侮辱を思い起こさせる」との見出しを取り報道。NBCニュースも、今回の問題を詳しく報じた上で「テニス界におけるプレッシャーは過去に大坂にとって活動停止の要因となってきた。昨年、大坂はテニスから休養を取ることを発表していた」などと伝えた。CNNによると(ヤジを飛ばした)観客が判明したか、大会施設から追い出されたかは明らかになっていない」という。 また対戦相手のクデルメドバのロシアメディアも、この問題を取り上げた。 「チャンピオンナット」は、「世界で最も裕福なアスリートがインディアンウェルズでのトーナメントで負けた後に涙を流した。いったいどうしたのか?」という表現を使って伝え、詳しく試合内容やヤジを浴びた大坂の様子や試合後スピーチをレポート。 今大会前の会見で大坂が、「正直に言うと、私は今、平穏な状態で素晴らしい気持ちでいる。今大会で成功したい。最善を尽くしていることを理解することが重要で、オーストラリアでも、その気持ちを持っていた」と語っていたことを紹介した上で、「クデルメトバとの試合が示したように大坂の調子は、まだ完璧とは程遠い」と厳しい論調を展開させた。