デジタルメーターにナビコンにオートドライブって凄くないか!? メカドックにも登場した「セリカXX」は少年の夢が詰まっていた
ラグジュアリーな雰囲気をまとったスポーティクーペ
1980年代に生きた若者、クルマ好き、トヨタ車ファンにとって憧れの1台が、1981年7月に発売された2代目セリカXXだったのではないか。初代同様にセリカリフトバックをベースに、リトラクタブルヘッドライトやウェッジシェイプのボディと6気筒エンジンをもつ、カッコいいスポーティクーペだった。 【画像】2代目トヨタ・セリカXXのエンジンルームの画像などを見る 同年2月には伝説のスペシャルティカー、1980年代のデートカーの極めつけともいえるトヨタ・ソアラが登場しているが、1978年デビューの初代セリカXXやソアラのラグジュアリーなテイストとは違う、スポーティカーとしてのキャラクターを与えられ、多くの若者、スポーティカーファンを熱狂させたクルマでもあったのだ。それを「デカいAE86!?」と称した人たちもいたはずだ。 それもそのはず、CMにはロータスカーズの創業者、コーリン・チャップマンが起用され、足まわりのセッティングもロータスが担当。ハンドリング・バイ・ロータスのクルマとしても認知されていたようで、なりよりも走行性能の高さを売りにしていたのである。 Cd値0.35という当時としては抜群の空力性能、リトラクタブルヘッドライドによる前面投影面積の小ささから、グレードによっては200km/hオーバーの最高速度を、走り屋向けなどの自動車専門誌のテストで記録されていたほどだった。 車名の由来は「天の」、「天空の」、「天国のように」という意味で、未知数を表すアルファベットのXを重ねて命名されたという。ただし、知っている人は知っているように、輸出仕様の車名はスープラ。これは、主な輸出先のアメリカで、X、XX(ダブルエックス)、XXX(トリプルエックス)が成人映画の指定度合い(Xが増すほどにハードになる)を表すことから、XXの車名を避けたのである。
1980年代当時の最先端豪華装備も満載されていた
搭載されるパワーユニットは、デビュー当初1G-EU型2リッター直6SOHC(125馬力)と5M-GEU型2.8リッター直6DOHC(170馬力)の2本立てだったものの、1982年2月にM-TEU型2リッター直6SOHCターボ、同8月に1G-GEU型2リッター直6DOHC24バルブエンジン(2000GT)を追加。ミッションは4速ATが基本だったが、2000GTはMTのみであった。まさに、2800GTより軽量な鼻先を生かした走り屋のためのXXだったのである。セリカXXは少年ジャンプの超人気連載漫画「よろしくメカドック」に登場した車両でもあった。 ちなみに後期型と呼ばれる1983年8月のマイナーチェンジで念願のドアミラーが標準装着されるようになり、ターボエンジンも水冷インタークーラー装着でパワーアップしている。 そんな、スポーティに振った走りに特化し、時代の花形車でもあった2代目セリカXXだったが、もうひとつ、大きな特徴がある。それが内装の仕立ての豪華さ、装備類の充実・先進性だ。 初代から引き継がれた派手なバーガンディの内装色を始め、デジタルメーター、オートドライブ、電動サンルーフ、世界初のナビゲーションシステム「ナビコン」の装備を一部グレードに設定していた。ナビコンはインプットされた目的地の方角を入力するとその方向をマイコン(懐かしい言葉だ)が記憶し、正しい位置を刻々と表示。目的地までの距離を算出してくれるというもの。のちのカーナビゲーションの先鞭を付けたハイテク機能といっていい。 セリカXXは1986年2月に販売終了。2代だけのモデルだったが、いまだにファンの間では名車の呼び声が高い1台だ。設計がセリカベースではなくなった1986年登場の事実上の3代目からは、国内仕様も輸出仕様同様にスープラ(国内では初代A70型1986~1993年、全車6気筒、ソアラと共通のプラットフォームを採用)を名乗ることになった。 セリカ、セリカXXの車名は現在、消滅してしまっているが、トヨタ86同様にチーフエンジニアの多田さんが手がけた現行スープラへと、名車の系譜は引き継がれていることになる。 それにしても当時大人気で、いまやネオクラシックカーとも呼べるセリカXXの中古車はプレミア化しており、価格は爆上がりでほとんどが2リッターエンジン搭載車だが、300万~500万円オーバーの中古車も存在するようだ。
青山尚暉