元暴力団組員キンちゃんが営む西成のうどん店『食事に本当に困っておられる方は一杯無料』恐喝や薬物を繰り返した過去から「お金ないから飯食えない、飯食えないから犯罪に」
39歳から事情があってフィリピンで2年間生活。しかし、異国の地で食べることに困り、ホームレスになったこともありました。過ちを繰り返す人生。現地の人が手を差し伸べてくれたことで心が変わりました。 (キンちゃん)「海外なんて誰も知り合いいないし、飯食えないじゃないですか。じゃあどないすんねんってなった時、恐喝みたいなことをやっていましたね。それに対して現地の女の人が『おなか減ってないか、ごはん食べや』って、あのひと言はいまでも忘れられないですよね」 帰国後、真面目に生きようと店を始めたキンちゃん。コロナ禍で客足が遠のき、余ったうどんを捨てていましたが、フィリピンで救われた経験を思い出して“無料うどん”を始めました。 (キンちゃん)「おなかさえ満たされとって住むところあれば、犯罪って少なくなるんちゃうかなと思うんですよね。俺も腹減っていたからそういうことしていたし」
空腹に耐えられず店に 年金暮らしの女性
年の瀬に1人で店に来た女性がいます。従業員の亜衣さんが優しく声をかけます。 (亜衣さん)「きょうは無料のおうどん?」 (客)「いいの?」 (亜衣さん)「大丈夫よ」 (客)「すみません、いただきます」 (キンちゃん)「いらっしゃい、こんにちは。いっぱい食べていってな」 (客)「おいしいわ」 (キンちゃん)「おいしい?よかったよかった」 (客)「食べたいなと思ってここ通っているんやけどね、なかなか入られへんかった」 (キンちゃん) 「声かけにくかった。遠慮せんと声かけてくれたらええで」 (客)「ええの?」 (キンちゃん)「かまへんかまへん」
(客)「年金だけだから。家賃が4万7000円だけど2か月分払わないといけない。年金が2か月にいっぺんでしょ、9万4000円払っている」 近くで一人で年金暮らしをする74歳の女性。空腹に耐えられず初めて店に入りました。年金は2か月分で13万円。家賃や光熱費を払うと残るのは2か月で3万円ほどです。 (キンちゃん)「無理やでな」 (客)「だからお米を買うのが精いっぱい。ごはんにみそ塗って食べてんねん」 (キンちゃん)「ごはん食べるのはここで食べたらええからな。そのかわりうどんしか出ないで、ごめんやけど」 (客)「それで十分や。本当にいい味している」