化学物質過敏症に対応…福井県にモデル住宅 床や壁に原因物質流入防ぐアルミシート
人工香料などが原因で体調を崩す化学物質過敏症(Chemical Sensitivity=CS)の患者が住めるように対策を施したモデル住宅の整備が、福井県小浜市郊外で進められている。居住環境が原因で発症し、日常生活もままならない人も少なくない。来春完成予定で、整備に取り組む住宅のCS対策研究家は「建物の内部をきちんと対策すれば、多くの患者が住むことができる家になることを知ってほしい」と話している。 ⇒【写真】CS対応したモデル住宅の外観 整備しているのは、パハロカンパーナCS住宅研究所(京都市)の足立和郎さん(66)。建築家だった足立さんは、自身や家族が発症したことから「CSの人が普通に住める住宅」の研究を始めた。患者専用の空気清浄機、壁や床などに張って化学物質を封じるアルミシートなどを開発し販売。CS患者の住宅改修や、発症して学校に行けなくなった児童生徒の専用教室整備の相談などに対応している。 CSは原因物質や症状の程度が多岐にわたる。「(患者が)実際に住める家はどのようなものかを知ってもらいたい」とモデル住宅の整備を決め、11月から小浜市で中古物件の改修に着手した。 木造2階建て約80平方メートルで間取りは3LDK。築30年で、住宅建材に使われる化学物質の影響で症状が出る「シックハウス症候群」対策を義務づけた改正建築基準法が施行された2003年7月以前に建てられた。 合板や壁紙の接着剤などに代表的な原因物質のホルムアルデヒドが使われていたため、合板や壁紙を取り除き、化学物質の飛散や室内への流入を防ぐアルミシートを天井や壁、床に張り巡らす。床はアルミシートの上にも反応を起こしにくい広葉樹の無垢(むく)材を敷くなど改修を進めている。自社オリジナルの空気清浄機も設置する。 モデル住宅がある集落は、海が望め、住宅が密集しておらず、車通りも多くない。足立さんは「周辺環境がある程度よければ、内装を整えると多くのCS患者が住めるようになることを体験してもらいたい」と話している。 問い合わせは同社ホームページから(「パハロカンパーナCS住宅研究所」で検索)。