「みまさかの国」岡山県・津山市で城下町と牛肉を堪能する【後編】
ここで高田さんからクイズ出題。「ここにある13台のなかで、もっとも貴重な車両はどれでしょう。日本中探しても、ここにしかない車両です」。そりゃあ、真っ黒な蒸気機関車デゴイチじゃないの? と思ったら……。正解は上写真、右端の赤いディーゼル機関車「DE50形」なんだそうだ。高田さんいわく、「1970年に、当時の国内最強最大ディーゼルエンジンを搭載して1台だけ製造され、その後、同形の量産化計画が中止になったため、DE50形はここにある、この1台しかないのです」。 まなびの鉄道館は飲食物の持ち込みは自由(展示室内を除く)。そのため、同館の屋外休憩スペース「いこいの広場」で弁当を広げつつ、日がな一日、フェンス越しに津山駅の引き込み線に並ぶディーゼル車を眺める鉄道マニアもいるのだという。 「“撮り鉄”“乗り鉄”なんてマニアの方も多いですけど、“音鉄”って方もいらっしゃるそうで。津山線は非電化、つまり走っているのは電車ではなくすべて気動車(ディーゼル車)ですので、独特のエンジン音がするんです。この音を何時間も聴きながら気動車を見つめていらっしゃいます。端から見ていて、実に楽しそうですよ」(高田さん)
文明開化のはるか前から“肉食文化”があった
B級グルメ「津山ホルモンうどん」で有名なとおり、津山市は牛肉食が盛ん。歴史をさかのぼれば、8世紀にはすでに津山で肉市場が開かれていたとの記録があり、仏教の影響で肉を食べることが禁じられていた江戸時代でも、津山藩と近江彦根藩だけは「養生喰い」、つまり健康のための食事として肉食が認められていた。 となると、夕食に牛肉は外せない。津山には数多くの肉料理専門店があるが、なかでも人気で予約必須という「炙り家 ぼっけもん」を訪れた。
で、ど~ですか、このビジュアル! 左写真の「ユッケ寿司」は、なんと全長48㎝。ここから適量を取って、卵黄入りのタレをつけて食せば……濃い牛肉の旨みが口いっぱいに広がる。
ホルモン職人ひと筋の店主(58歳)オススメの「炙りもんの盛り合わせ」(左写真)は、鮮度抜群のホルモン類と正肉、いろんな部位がそれぞれ絶妙の火入れ加減で供される。このほか、ブロック状の牛肉を干した保存食「干し肉」、コリコリした動脈の食感が楽しめる「ヨメナカセ」など津山独特のメニューもいただけば、心もお腹も満たされること間違いなしだ。 岡山駅から津山線の「汽車」で約1時間。あのB’zのボーカル・稲葉浩志の出身地でもあり、彼の実家「イナバ化粧品」が観光案内マップに載っていたりもするお茶目な津山市は、絶対に訪れて損のないまちだと、FRaUは保証します! photo:土居雄一、FRaU、text:FRaU